英語と日本語の適正なバランスを 日本学術会議が提言

日本学術会議はこのほど、初等中等教育での英語教育について提言をまとめ、公表した。大部分の児童生徒にとって英語は非母語であるのを踏まえた現実的な教育方針の設定や、英語と日本語との適正なバランスでの授業実施などを提案した。

提言の表題は「ことばに対する能動的態度を育てる取り組み―初等中等教育における英語教育の発展のために―」。同会議で日本語の在り方を議論する作業部会「文化の邂逅と言語分科会」が、審議の内容を取りまとめた。

内容は、▽非言語としての英語という視点の共有▽英語で行うのを基本としない英語教育への変更▽文字の活用、書きことばの活用――の3点。

大多数の児童生徒の母語は日本語であるのを踏まえ、「児童生徒の学ぶ英語に日本語の影響が出るのは自然な結果。英語教育の中でも積極的に日本語に言及すべき」「児童生徒が英語を聴いたり使ったりするうちに自然に英語に慣れ、仕組みを習得するだろうとの期待もやめるべき」とした。

また現在進められている「英語による英語授業」については、「初等中等教育では適切と言えない」と批判的な見解を示した。コミュニケーション英語に限定した運用能力の育成ではなく、英語を言語教育の一環として言葉の仕組みへの着目を促すなど、幅広い理解と能動的な態度を育むのが重要とした。

日本人で日常的に英語を使う者は1%ほどとの調査結果や、ベネッセ教育総合研究所の平成27年調査で、小学校5・6年生の半数弱が「将来英語を使うことはない」と回答したのを踏まえ、「児童生徒が英語を使わなければならない具体的な場面を想像するのは難しい。実用性は英語学習の動機づけとなりにくい」とした。

その上で、文字や書き言葉の活用は「時間や記憶の制約を受けずに言葉を吟味でき、言葉の仕組みを考えるのに有効。児童生徒の関心に合った情報を提供でき、興味を持続する上での助けになる」との見解を示した。

提言は同会議のウェブサイトから閲覧できる。

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