深い学びで研究発表会 対話を生かして探究

デジタルとアナログを往還し対話しながら学びを深める児童
デジタルとアナログを往還し対話しながら学びを深める児童

山梨県北杜市立長坂小学校(丸茂哲雄校長、児童数358人)で12月10日、共創型対話学習研究所(代表・多田孝志金沢学院大学教授)による第3回研修会が、同校の研究発表会と合同開催された。テーマは「対話し、学び合う児童の育成~『見通す・学び合う・振り返る』学習活動を通して」。各地から研究者、教員、教育関係者ら150人ほどが集まった。次期学習指導要領が重視する対話のある深い学びを探究した。

授業公開は、2年生算数科、5年生国語科と社会科、6年生理科。このうち理科では、1人1台のタブレット端末を活用しながら、発展学習として「てこのはたらき」を展開。「てこを使えば、どんなものでも持ち上げられるか」をテーマに課題を探究。自己内対話と隣との対話、情報端末を介して考え方を学級全員で共有できるツールを用い、奈良の大仏などを持ち上げるには、どれほどの長さの棒が必要で、支点をどこに置くかについて考察を巡らせた。条件は、▽学級全員の体重は合わせて約1トン▽棒や支点は壊れない▽長坂小学校のある場所を力点とする。さっそく、グーグルマップで距離を検索。解を求めていった。

解に至るには、てこの原理をモデル的に数式化し、それを実際の距離との比で、支点の位置を特定していく過程が必要。二重の数理処理にとまどいながらも、児童は粘り強く考えていった。中学校理科における数学的な要素にもつながる展開となった。

授業研究分科会では、各公開授業の意図などが話され、課題が話し合われた。

研究発表分科会は同研究所が主導。▽絵本の活用法▽ESD▽学ぶ意欲を自ら高め、学び合う学校の創造――をテーマに、実践に基づく研究が深められた。

鼎談は「グローバル社会への対応~いま教育に求められていることは」がテーマ。諏訪哲郎日本環境教育学会会長、内藤徹JICA広報室地球ひろば推進課長、堀内正基前同校校長が登壇した。

諏訪氏は「次期学習指導要領は19世紀国民国家型の教育からの脱却となる。世界中で教師が教え込む教育から学習者中心の学びに転換しつつある」「教育システム全体が変わり、多様で重層的な学び、予想もつかない学び方が現れるので、教師自身がアクティブ・ラーナーにならなければならない」と語った。

内藤氏は、「海外に行くと、少ない情報の中で自分で判断し行動しなければならず、とりあえずの答えを出して動いていく」「そんな経験から、全てを理解しきれない中で、答えが1つでない議論をさせる。自分で考えて表現する。きれいごとではすまない現実の生活について話し合う。日本にいる外国人と話す場をつくる。これらを今の教育に求めたい」と語った。

堀内氏は、「高齢化が進んでいるからこそ、地域と学校の在り方を変えていく必要がある。学校が地域に盛んに働きかけ、学校を知らせていく。学校に、保護者などの力をどんどん取り込んでいく。そうした取り組みが、ますます重要になる。長坂小はこれを進めてきた」「生きる力は多様な人との交わりの中でこそ育まれる」「地域の教育力は、無条件で学校の中で活用できるものではない。学校がそれを作りだすのが大事」と語った。

終わりに多田所長は、「授業で『学びを深める』がなかなかできていない。実践者が最も工夫を要するところだ。その工夫を、実践の力で証明していく時代だ」と語った。

また池田康文所長補佐(教育新聞編集委員)が「スイス憲法序文に『国民の強さは弱者の幸せによって測られる』とある。新学習指導要領が実施される中でも弱い立場に置かれる子供たちがいる。そんな子供たちが幸せになるよう、力を尽くしていこう」と結んだ。

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