被災者が安全に過ごすアイデア提案 生徒の課題探究で

生徒の多様な気付きが提案につながった
生徒の多様な気付きが提案につながった

埼玉県立常盤高校(森一夫校長/看護科3年、看護専攻科2年)は、5年一貫教育で充実した看護学習を行う看護師養成高校。12月21日、同校で1年間のプロジェクト学習の成果を発表する公開プレゼンテーションが行われた。東日本大震災に際して避難所になった体育館で、高齢者や乳幼児連れの親子が安全安心に過ごせるアイデアなどを提案した。

同校は、社会の第一線で活躍できる専門的職業人育成を図る文科省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)指定を受け、全学年で看護、防災に関するプロジェクト学習を推進している。

この学習では生徒たちに、「看護専門職者としての自覚を促し、生涯にわたって看護の専門性を追求し続ける力を育成する」のが目標。▽豊かな人間性▽確かな知識と技術▽科学的思考と判断力――を兼ね備えた人材育成も見据え、一貫教育の特徴を生かした独自の先進プログラムとしている。生涯学び続ける力の基盤づくりとして、全学年で年間を通じた課題発見と解決力を養う学びを重視する。

看護科1年生は、防災プロジェクトとして、グループごとの課題意識と解決策を提案。東日本大震災で体育館に避難してきた人々の状況を踏まえた安全で、安楽な環境整備のアイデアを示した。プロジェクターで体育館の見取り図や対応の手順を映写。生徒が高齢者へのマッサージ方法なども実演し、聞き手の生徒に分かりやすく伝える工夫をちりばめた。

内容は「杖を使用する85歳の夫婦が避難所で転ばずに過ごし、食事ができる方法」「5カ月の子供がいる母親が避難所で安心して過ごせる環境」など。

高齢夫婦の夫に認知症があるケースでは、夫が妻の安眠を妨げず、自分で排泄などを行い、夜を落ち着いて過ごす方法を説明した。最初は状況把握として認知症の程度に応じた適切な対応例を説明。その上で課題に「トイレ位置が把握しにくく失禁の可能性」を指摘する。

夜のトイレ誘導は、懐中電灯を使って順路を分かりやすくしたいと述べる。失禁対応では、シャワー室でのリハビリパンツ交換の手順説明、1時間交代制で出入り口に人が立つ徘徊対応を解説した。

一連の学習では、最初に避難者の多様な年齢、持病、家族構成をあげ、グループごとに探究するプロセスで実施した。各グループが担当した家族や病気の状況などを掘り下げ、問題意識や気付きを深めながら、適切な対応に必要な視座や看護知識などを高める流れを生み出している。

学校行事中に大地震が起きたらなどと想定して、安全な避難のあり方を考察し、検討する学びも展開。エビデンスに基づく看護の提案力を高めるため、タブレット端末で手洗い後の汚れの残り方などを確認する実験を交える学びも工夫する。病院や大学、学外機関との連携にも力を入れている。

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