【新年特集 提言と実践】外国語


次期学習指導要領が、今年3月に告示される。本紙は全連小と全日中の協力を得て、授業実践に先駆的に取り組む小・中学校をクローズアップした。また識者にも、各教科の課題など提言を寄稿してもらった。外国語は、吉田研作上智大学特別招聘教授の提言と、岐阜県多治見市立笠原小学校、鳥取県倉吉市立東中学校の実践を掲載する。

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上智大学特別招聘教授 吉田研作

 

教科移行や時間の確保を

20170101_01-03次期学習指導要領の外国語(英語)の目標について、教育課程審議会は、「語彙や文法等の個別の知識がどれだけ身に付いたかに主眼を置くのではなく、児童生徒の学びの過程全体を通じて、知識・技能が、実際のコミュニケーションにおいて活用され、思考・判断・表現することを繰り返すことを通じて獲得され、学習内容の理解が深まるなど資質・能力が相互に関係し合いながら育成される必要がある」としている。

このような力を育成するために、英語教育の目標を、英語を使って何ができるかとの到達指標(Can-do指標)の実現においているのである。

小学校から高等学校まで、一貫したCan-doの流れに沿って教えることにより、小中、中高間のギャップを埋めるのが期待されている。また、Can-do実現のためには、英語授業は基本的に英語で行うのが求められる。

上記の目標達成のために、小学校では、3年生から外国語活動を、5年生から外国語を教科として取り入れることとなっている。

平成23年に始まった小学校外国語活動を受けてきた小・中学生や小・中学校の教員に対して、文科省が実施した小学校外国語活動実施状況調査の結果を見ると、小学校5、6年生および中学校1年生の約90%が「英語が使えるようになりたい」と答えている。

小学校教員も中学校教員も、外国語活動を肯定的に評価していると分かった。しかし、一方で、小中の連携があまりうまくいっていないとの結果もある。その理由を見ると、英語の知識や技能の評価が求められる中学校の教科としての英語への移行が、必ずしもうまくいっていないのが考えられる。

そこで、次期学習指導要領では、外国語活動導入を小学校3、4年生に、教科としての英語を同じ小学校という環境の5、6年生に引き下げた。外国語活動から教科への移行がよりスムーズに行われるのが期待されている。

もう一つの課題は、5、6年生の教科としての英語の時間数である。年間70時間を柔軟に導入するとなったが、実際は、70時間の確保が非常に厳しい学校がある。週2コマ取れる学校と、週1コマと短時間学習の組み合わせで実施する学校が混在するだろう。

問題は、短時間学習は、文法や単語あるいは文字の練習には有効かもしれないが、英語によるコミュニケーション活動がどこまでできるか、ということである。

また、「教科」としての英語を誰が教えるのかなど、指導者の問題がある。外国語活動の場合は、基本的に英語によるコミュニケーションを「楽しみ」、音声などに慣れ親しみ、国際理解が促進されれば良いので、小学校の担任とALTや外部人材のティーム・ティーチングで十分である。

それに対して、教科の場合、英語を「系統的に」教えられる専科教員が必要になる。しかし、現在、全国の公立小学校教員で英語の教員免許を持っている人の割合は4%にすぎない。そのため、特別免許状の発行により、ALTなどの外部人材を非常勤講師として採用する方法が考えられている。

最後に、上記のような改革を行うと同時に、出口にある大学入試を4技能化する方向性が示されている。このように、英語教育の目標をCan-doという実践的能力の獲得に据え、それを小学校から高校まで一貫して実践すると同時に、出口でも4技能試験を課すことにより、日本の英語教育を大きく改善しようというのである。

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岐阜県多治見市立笠原小学校

 

小中で連携し定着図る 外国語活動から英語科へ
歌やゲームなどのコミュニケーション活動で英語を学ぶ
歌やゲームなどのコミュニケーション活動で英語を学ぶ

本校は平成15年から文科省研究開発学校の指定を受けている。岐阜県多治見市への合併前から幼保小中一貫教育の柱として「英語教育」を始めたという。入学する前から、幼稚園や保育園で英語に慣れ親しむ時間がある。

このような環境の中で進められてきた英語教育だが、次期学習指導要領では、教科としての英語が始まることになった。教科化のポイントは「定着」だと捉えている。そのために繰り返し指導するのが大切になってくる。
ここに本校の研究実践の一端を紹介する。

◇系統的な「目標の段階表」の作成

今年度、これまでの到達目標を改定し、小中9年間の系統性を持った「笠原小学校・中学校外国語(英語)科における目標の段階表」を中学校と連携して作成した。

英語科の4つの観点のそれぞれで設定し、「話題・内容・表現(理解)方法・程度」と4つの視点を盛り込んで文章化した。この段階表によって、各学年で定着させる規準を系統的に明らかにできた。

◇単元指導計画の工夫

各単元において、確実な定着を図るべき基本となる言語材料を設定した。特に中・高学年においては、使用場面を変えながら繰り返し当該言語材料を使えるように単元を計画。一層定着するように工夫した。

◇単位時間における工夫

導入部分で、短時間で既習の言語材料を用いて行える帯活動を仕組んだ。それまでに身に付けてきた言語材料を使用しながら、歌、ゲーム的な活動、前時に行ったコミュニケーション活動等を設定した。

また、中間交流会の持ち方を改善した。全ての児童に言語材料が定着しているかとの視点を大切にし、定着が不十分であれば、再度全体練習や個人での練習時間を確保した。
さらに、評価の工夫も実施した。評価は授業中に行うのがメーンである。そこで、活動中に評価規準に到達している児童にシールを渡している。児童は、そのシールを、振り返りの時間にコメントカードに貼る。

学級担任は、コメントカードにシールをまだ貼っていない児童を中心に指導に当たり、全員が評価規準に到達できるように指導・援助を繰り返し行っている。
パフォーマンステストも位置付けている。この結果は次につながるアドバイスを評価シートという形で児童に返している。ただ、パフォーマンステストには多くの時間を要す。短時間で処理し、有効なアドバイスをする方法を模索中である。

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鳥取県倉吉市立東中学校

 

生徒の肯定評価高まる 伝え合う外国語教育で
自分の考えを伝え合う
自分の考えを伝え合う

本校は、2年間の文部科学省教育課程研究指定校(外国語)の2年目として、言語活動の工夫に視点を当てて研究を進めている。

研究主題を、「互いに自分の考えを話して伝え合える生徒の育成を目指した指導法の工夫-聞いたり読んだりしたことについて話すなどの総合的な言語活動を通して-」とし、「その場」で思考・判断・表現する学習場面の設定を通して、英語の言語能力の育成をねらいとしてきた。

言語活動の工夫としては、次の5つに集約される。

1-帯活動の中でのスピーキング活動

「あいづちを打つ、相手の言ったことを聞き返す、関連した質問をする」などの型を学んでから、ペアで話す活動を行う。

2-正確さよりも内容重視

あえて辞書は使用せず、既習表現や語彙を使用する。

3-学習形態や言語活動の流れの工夫

机はコの字隊形に配す。個人が頭の中で文章を組み立てる時間を保証し、ペアで意見交換を行ってから全体発表をする。

4-日頃から考えや気持ちを話す活動

年間指導計画の重点単元以外でも、自分の考えや気持ちを表現できる発問を意識して継続実施する。

5-お助けシートの活用

生徒が使うと予想される語彙を提示する。授業実践した単元において、生徒が実際に使った語彙を蓄えていく。

成果としては、生徒から「伝え方を工夫して、今まで習った文法や単語を使って表現することができた」「その場で自分の英語力だけで話す活動は、いろいろな応用力に加えて基礎もしっかり築くチャンスにもなった」などの声が聞かれるようになった。

また、今年度2年生のアンケートの「自分の考えや気持ちを聞かれたとき、知っている単語や表現を使って、話そうとしていますか」では、肯定的評価が92%と高かった。

一方、課題としては、「教科書本文の内容について、自分の考えや気持ちを持つことができる」の肯定的評価が83%に対し、「自分の考えや気持ちを英語で話すことができる」の肯定的評価が66%に留まっている点が挙げられる。このギャップを埋める工夫が必要である。

この実践は、高い英語力を持った生徒が多くいる一部の学校だけができるものではなく、工夫次第で、公立中学校のどの学校でも取り組める授業である。

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