小学校学習指導要領案 授業改善で対話的で深い学びを

小学校学習指導要領案について、寺崎千秋教育新聞論説委員は、改訂のポイントを次のように解説する――。


小学校学習指導要領がどのように変わるのか、学校・教師はどのように取り組めばよいか。すでに昨年12月21日に、中教審がその方向性について答申を出し、おおよその姿は見えていたが、実際の学習指導要領はどのようなものになるのか。2月14日に公表された案について「前文」および「総則」を中心に分析してみる。

新設された「前文」は、教育基本法に定められている教育の目的・目標を達成することを求め、これからの学校像およびそこで学ぶ児童の姿を示している。その実現に必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程であり、その理念として「社会に開かれた教育課程」の実現を求めている。

学習指導要領は「こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるもの」とし、学習指導要領の役割として「公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保すること」や「児童の学習の在り方を展望していくために広く活用されること」などを示している。 これらを通して、学習指導要領改訂の趣旨理解の前提として教育課程の理念、学習指導要領の意義や果たす役割を正しく捉えることが必要である。

次に「第1章総則」の構成は、「第1小学校教育の基本と教育課程の役割」「第2教育課程の編成」「第3教育課程の実施と学習評価」「第4児童の発達の支援」「第5学校運営上の留意事項」「第6道徳教育に関する配慮事項」となっている。

これは、中教審答申が示した「学びの地図」としての学習指導要領の枠組みと基本的に同様である。

内容については「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」を通すなどして「生きる力を育むこと」を目指し、現行を一部改善する形で、学力、道徳教育、体育・健康に関する指導の在り方を示している。継承し進化させるものと捉えたい。

また今回の改訂の中核でもある「資質・能力」については、①知識および技能が習得されるようにすること②思考力・判断力・表現力等を育成すること③学びに向かう力、人間性を涵養すること――の3点が示されている。これも、中教審答申を受けたものであろう。その示し方が簡潔ではあるが、①と②は、現行と同じなのか違うのかが不明確ではないか。

「資質・能力」についてはこの他にも、「一人一人の資質・能力」「学校教育全体や各教科等における指導を通じて育成する資質・能力」「各教科等横断的な視点に立った資質・能力」「言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力」「豊かな人生の実現や次代の社会の形成に向けた現代的な課題に対応して求められる資質・能力」など多様な形で表出する。

一つひとつの意味付けや相互の関係がよく見えない。解説書において明確に解説することが必要であろう。

中教審答申で重視していた「主体的・対話的で深い学びの実現」について、これに「授業改善」をつなげて繰り返し示し重視している。「授業改善」にまで及んで示すことは、各学校がその趣旨を理解し、授業を確実に改善し、教育の質を高めることを求めている証であろう。

「カリキュラム・マネジメント」については、示す項目を新設してその在り方を具体的に示し、「教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと」を求めている。マネジメント・サイクルが確立するよう努める必要がある。

この他に「各学校段階間の接続」「キャリア教育の充実」「特別な配慮を必要とする児童への指導」「学校運営上の留意事項」など、求めるものを把握することが必要である。

最後に、「総則」の位置づけを明確にするのを求めたい。「総則」は各教科等に反映すべき通則的事項といわれてきたが、これまではどちらかというと軽視されていた。今回、総則を重視することが中教審でも言われていた。その趣旨を、ぜひ総則の冒頭に示し、これを基盤にして各教科等の横断的な教育課程編成の重要性を確認してもらいたい。

 

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