中学校学習指導要領案 地域社会や他校種との連携重視

中学校学習指導要領案について、細谷美明教育新聞論説委員は、改訂のポイントを次のように解説する――。


今回の改訂案を見る限り、これまで公表されてきた中教審の「論点整理」や「答申」などで示された骨子や基本的な考え方とは大きく変わっていない。例えば、学力面に関する基本的な考え方については「知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成」(文科省の説明資料)という記述に象徴されている。

また各校種の教科の目標や評価の観点は、3つの柱(知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等)で統一し、学校間連携を意識した教育課程の編成が行えるよう系統性を重視していることがうかがえる。そして、同じ校種内では各学校が教科横断的な学習や「主体的・対話的で深い学び」が実施できる指導計画を立てられるよう、外部からの人的・物的体制の確保等を通して学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントの確立を求めている。

そのため、現行の学習指導要領にはなかった「前文」を設定し、社会との連携・協働による、よりよい社会の創造といった「社会に開かれた教育課程」を重視し、その基準となるものが学習指導要領である点を強調している。

次に、中学校に関する主な改訂点を見てみたい。はじめに「総則」および「国語」については、言語能力の育成に関し、国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて生徒の言語活動や語彙指導の充実を図る。

「社会」については、主権者教育の充実として、民主政治の歴史に関する内容を増やし、従来の地理的分野から5時間程度歴史的分野の時間に繰り入れるなど高校との円滑な接続を図る。

「数学」については、現在中学校3年生で扱われている「自然数の素因数分解」と小学校5年生で扱われている用語「素数」をそれぞれ中学校1年生に移行することや、2年生における図形の学習において「反例」を用語として新設する。

「理科」については、従来3年生で扱ってきた放射線に関する内容を2年生においても扱う。

「音楽」については、言語活動を従来の「B鑑賞」だけでなく「A表現」でも扱う。「美術」については、「B鑑賞」を「美術作品などの見方や感じ方」に関する学習と「生活の中の美術の働きや美術文化についての見方や感じ方」に関する学習に分ける。「技術・家庭」については、家庭分野を「家族・家庭生活」「衣食住の生活」「消費生活・環境」の構成に改訂し、「衣食住の生活」において日本の生活文化に関する内容を充実させる。

「保健体育」については、「武道」を地域学校の実態に応じて種目が選択できるよう弾力化を図る。

「外国語」については、取り扱う語彙数を現行の1200語程度から1600~1800語程度に改訂。

「道徳科」「総合的な学習の時間」「特別活動」については、小学校とほぼ同じ内容である。

部活動に関する記述(総則)だが、「持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする」が加わっただけで、大きな変更はない。

中学校全般に関して感じるのは、「連携」の重視である。中学生は地域に住み発達段階的にも地域社会に直接参画・貢献できる年齢にある。したがって中学校は、地域社会や他校種との連携を通し、教科横断的な学習を中核とする多種多様な人材・教材を活用した「社会に開かれた教育課程」の具現化に最も近い存在といえる。そのためにも校長は、これまで以上に高い見識と情報を持ち、教職員を高い専門性と指導力をもった集団に育てながら生徒の指導に取り組んでいくことを再認識しなければならない。

その一方で、教職員の健康配慮にも努める必要があるだろう。

文科省は、こうした教育課程の実現のために、教職員の授業準備に必要な時間確保のための義務標準法の改正(教職員定数の改善)や部活動ガイドラインの策定など教職員の業務改善を推進するほか、現在国会では「チーム学校運営の推進等に関する法律案」が審議されていることも付記しておく。

 

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