小学校社会科学習指導要領案 公民としての資質能力を

学習指導要領案 教科・領域改訂のポイントをどう考えるか 〈2〉小学校社会科

2月14日に公表された学習指導要領案の小学校社会科について、改訂のポイントを、北俊夫国士舘大学教授は、次のように指摘する――。


◇社会の形成者を育成する教科◇

社会科の教科目標は、前文と具体目標から構成されている。前文は「社会的な見方・考え方」を働かせ、「課題を追究したり解決したりする活動」を通して「グローバルな国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者としての資質・能力の基礎」を育成すると示された。

前文を受け、社会生活について理解すること、情報を適切に調べまとめる技能を身に付けること、学習の過程や結果で思考力、判断力、表現力などの能力を養うこと、よりよい社会を考え主体的に問題解決しようとする態度、わが国の将来を担う国民としての自覚などを養うことが具体目標として示された。

これらの目標構成から、社会科はこれからの社会を担う人間を育てる中核となる教科であることが分かる。

2学年まとめて示されてきた中学年の目標や内容は、学年ごとに分けて示された。各学年で身に付ける資質・能力を明確にし、子供の成長や発達のステップを重視した系統的な指導ができるようにするためである。

◇社会の課題を踏まえた内容構成◇

小学校社会科は、主権者教育、防災教育、海洋や国土教育、伝統文化教育などの課題とともに、情報化やグローバル化に対応する観点から教育内容の改善・充実が図られた。

市区町村を対象にする3年生では、地域の安全を守る働きに関して、消防署や警察署などの関係機関の働きを取り上げる。また交通や公共施設、土地利用や人口、道具などに着目して、市や生活の移り変わりを取り上げる。

都道府県を対象にする4年生では、地震、風水害など自然災害を取り上げ、人々を守る活動について学ぶ。伝統や文化に関連して、文化財や年中行事の事例を県内から選定する。県の様子の学習では、国際交流に取り組んでいる地域を取り上げることが追加された。

5年生では、従来の「情報ネットワーク」の有効活用にかわって、大量の情報や情報通信技術の活用に伴う産業の発展や生活の向上について取り上げる。

6年生では、政治の働きを先に学び、そのあとわが国の歴史を学ぶ。政治に関しては日本国憲法と政治の仕組み、政治の働きの順に示され、内容の順序が変わった。政治に関する指導の充実を目指している。世界の中の日本の役割に関しては、世界の課題を取り上げるなどグローバル化の視点が重視されている。

「教科用図書 地図」(地図帳)は3年生で配布される予定。早い時期から地図に慣れ親しませ、広く世界に目を向けるなどグローバル化への対応を図るためである。

◇これからの授業づくりのポイント◇

これからの社会科授業は「社会的な見方・考え方」を働かせながら問題解決に取り組み、社会や社会的事象について理解・認識を深めていくことが一層求められる。

「社会的な見方・考え方」とは「追究の視点や方法」のことである。「視点」とは空間軸、時間軸、そして社会システム軸のこと。

「方法」とは比較、分類・整理、関連、総合するなど情報を処理する際の操作の仕方、手続きである。これらの視点や方法を働かせながら学ぶことにより、社会をより深く理解できるようになることが期待される。

次は、問題解決的な学習を一層充実させることである。今後、問題意識をどう高めるか(問題発見と学習問題づくり)、問題解決への切実性と見通しをどうもたせるか(予想の立案と学習計画の構想)、調べたことから概念的な知識をどう導き出すか(追究結果の整理と考察)、そして学習成果を生活や社会にどう生かすか(生活改善、社会参画)などが具体的な検討課題になる。

社会科で取り上げられる知識は多様で、階層化している。このことを踏まえ、「知識の構造図」を作成し、知識相互の関連性を明確にする。社会認識を深めるために具体的な知識を習得させ、それらをもとに概念的な知識(中心概念)を獲得させる筋道を明らかにする。「知識の構造図」を生かした問題解決的な学習を展開することが、一層重要になる。

【関連記事】

◯【新】学習指導要領の関連記事

関連記事