中学校社会科学習指導要領案 英知を結集し主体的に

学習指導要領案 教科・領域改訂のポイントをどう考えるか 〈4〉中学校社会科

2月14日に公表された学習指導要領案の中学校社会科について、改訂のポイントを、全国中学校社会科教育研究会の会長を務める石上和宏東京都板橋区立志村第二中学校長は、次のように指摘する――。


◇小・中・高校と一貫性を持たせた◇

社会科教員は英知を結集し、主体的に取り組もう――。

2月14日、バレンタインデーの贈り物のように学習指導要領案が示された。一読して、従前よりも細かく書かれていて分量が多いと感じた。近年、若手教員が増えてきたこともあり、誤解のないように丁寧に説明する必要があったのかもしれない。パブリックコメントを求めている段階ではあるが、現行の学習指導要領と比較して、特に気付いた点を列挙する。

まず、目標が小学校、中学校、高校と一貫性を持たせ、上級学校になるにつれて、深化が図られ分かりやすくなった。地理、歴史、公民の各分野間の整合性もとれて、目標と内容が関連付けられているので、単元ごとの身に付ける力が一層明らかになった。

◇地理と歴史の切れ目を工夫◇

地理、歴史、公民の各分野ともに「課題を追究したり解決したりする活動」を重視している。こうした活動は、課題把握、課題追究、課題解決、新たな課題と、答申の「学習のイメージ」にあるが、今後の実践課題といえる。領土問題として指導するのは北方領土と竹島であり、尖閣諸島については領土問題が存在しないことが明記された。平成26年1月に「中学校学習指導要領解説」が一部改訂されたが、学習指導要領に明記されたおかげで、指導上の齟齬が少なくなり、指導しやすくなった。

地理的分野では、新たなポイントとして「地球的課題」「地域的な課題」「空間的相互作用」等が挙げられた。時間数は120から115となり、5時間減となった。

歴史的分野では、「ムスリム商人の役割」「民族や宗教をめぐる対立」「地球環境問題」「琉球の文化」「アイヌの文化」等が新しいポイントとなる。時間数は、130から135となり、5時間増となる。地理と歴史の授業をどこで学年の切れ目にするかは、全体の授業時数が変わっていないので、工夫のしどころである。

また学術研究の成果が教育に反映するには時間がかかるといわれるが、「大和政権」「厩戸王」「モンゴル襲来」「江戸幕府の対外政策」等に学術研究の成果が取り入れられた。

◇防災や持続可能性など新たなポイントに◇

公民的分野では、「少子高齢社会における社会保障の意義」「労働保護立法」「災害時における防災情報の発信・活用」「人工知能の急速な進化等による作業や社会の構造的な変化」「起業」「国連による持続可能な開発のための取組」が新たなポイントである。

三分野の内容にはいずれも、これからの社会を生きる生徒にとって必要な内容や方法が示されたといえる。教員自身が主体的に仲間との対話的な活動を行い、生徒の深い学びができるように、各研究会での活動を活発にして、英知を結集することが求められているといえる。

 

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