中学校道徳科学習指導要領案 深く問い誇りを持たせる

学習指導要領案 教科・領域改訂のポイントをどう考えるか 〈5〉中学校道徳科

次期の学習指導要領案は2月14日に公表されたが、教科となった「道徳科」は、他教科・領域に先立ち、小学校では平成30年度から、中学校では31年度から全面実施となる。このうち、中学校でのポイントについて、島恒生畿央大学教育学部教授は次のように指摘する――。


◇主体的、対話的で深い学びの実現を◇

「道徳科」の全面実施が近づいてきた。教科化の目的は「考え、議論する道徳」への質的転換である。これまでの「道徳の時間」が、分かり切ったことを言わせたり書かせたりしていたことや、登場人物の心情理解に偏ったものになり、子供たちにとって魅力的な時間になっていなかったのを改善することである。

そのためのポイントは、「主体的、対話的で深い学び」の実現である。

子供たちが問題意識を持ち、自己を見つめ、道徳的価値を自分自身との関わりで捉え、自己の生き方について考える授業。自分と異なる意見と向かい合い議論することで、自分自身の道徳的価値の理解を深めたり広げたりする授業。道徳的価値に関わる自分の考え方、感じ方が深まる授業。

カギとなるのは「問い」である。思わずぐっと考えたくなる問い、隣の友達と話したくなる問い、初めて考えたという問いを投げ掛け、子供たちが発見し、手柄となる授業を目指したい。ちょっと難しいことを考えさせるのが大切である。

◇プラス志向で開発的な取り組みを◇

道徳は、マイナス志向で取り組まれる場合が多い。できていないことや足りないことが注目されるのである。学校の道徳教育の重点目標は、その典型である。そのため、伝達型の授業や取り組みになりがちである。

子供たちの中にあるリソース(資源)、学校や家庭、地域にあるリソースを生かし、開発するというプラス志向の考え方が有効である。子供の中の小さな育ちを教員がしっかりと見取り、それを本人たちにも気づかせ、大きく育てていくのである。子供たちのよさを信じ、認め、もっと伸ばそうという発想である。

そのためには、教員に児童生徒理解の力が大切である。それを支えるのが、教職員のリソースである「チーム学校」。みんなが一枚岩となり、子供の発達の段階をしっかり押さえ、子供の育ちを引き出す授業を展開するのである。

実際、道徳の授業づくりをチームとなって積み重ねた中学校では、まず、生徒理解が深まったという。そして各教科の授業も劇的に変容したという話を多く聞く。伝達型の授業から、子供が考え合い、深い学びを得ることのできる主体的な授業となったのだ。

中学生は、自我の確立という大事な時期にある。私は、中学校では、人間としての「誇り」に気づかせ、道徳科が「誇り」を育てる時間になればと思う。

学校を挙げての教職員の底力を、ぜひ発揮していただきたい。

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