小学校図画工作科学習指導要領案 教科の独自性を維持した活動に

学習指導要領案 教科・領域改訂のポイントをどう考えるか 〈6〉小学校図画工作科

2月14日に公表された学習指導要領案の小学校図画工作科について、改訂のポイントを、全国小学校図画工作教育連盟理事長・東京都図画工作研究会長を務める福岡貴彦東京都目黒区立上目黒小学校主幹教諭は、次のように指摘する――。


◇改訂の趣旨は教科の特性と整合する◇

図画工作科においては、以前から、造形活動をすることを通し、創造する力や豊かな情操を育ててきた。ここで培われた力は、現時点で予測不能な将来に対し人生のあらゆるシーンにおいて汎用性を持って発揮されることが期待され、個人および社会がより主体的に生きるための能力として活用されるものである。今回の改訂の趣意は、図画工作科が目指し維持してきた教科性と整合するものといえる。

ここでは、改訂の方向性を示す「知識・技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性等」の「三つの柱」を、図画工作科において次のように解釈したい。

◇知識および技能◇

図画工作科において育成を目指すとされている知識は、「造形的な視点で捉えること」と述べられている。色や形や材質感などの造形的要素を通して、経験的、感覚的に物事を捉えたことを知識として位置付け、さらなる創造的活動に使われるためのものである。

また、技能に関しては、現行における「創造的な技能」を踏襲し、単なる操作スキルではなく、創造的な表現に向けた主体的発展という視点で捉えたい。

◇思考力、判断力、表現力◇

図画工作科の中で常に繰り返される自己選択、自己決定、自らの価値生成といった事柄がこれらの力に当たり、イメージ実現のために造形性の中で主体的に育まれる。

ここは、図画工作科の根幹部分ともいえ、結果(作品づくり)のために指導者が子供に課す他律的造形作業は、図画工作の理念からは一線を画すことを明確にしたい。

◇学びに向かう力、人間性等◇

子供が「表現したい」「つくりたい」と心底思い、自らのイメージを持つことが、意味ある造形活動の出発点である。また、そこでなされた表現活動は、多様な価値を持ち、他者と互いに認め合うことが喜びとなり、自他それぞれがかけがえのない尊厳を実感させる。

造形活動の中では、表現への意思喚起と表現する喜びが繰り返され、子供は造形活動を通して、社会的人間性に向けて陶冶されていく。

◇手段を目的化してはならない◇

しかし、使われている文言には、実践に当たって注意を要するものもある。

例えば先に述べた「知識・技能」は、ともすると創造への手段を超えて、それら自体を目的化することが懸念される。それらは、形成的および総括的評価において客観性の名のもとに、単なる美術的知識量や造形技術の巧拙として比較しやすいからである。

また、表現と鑑賞の一体化については、さらに強調されているが、鑑賞が活動過程や生活と密接に関連付けられていることは、指導者として授業実践に当たり、美術教養的な方向へと過剰にシフトしないよう、常に意識するべきである。

今後、各学校においてカリキュラム・マネジメントが必要になる。目の前の子供たちにとって、目的達成のための最適な題材設定はどのようなものか。また、図画工作科の独自性を見失うことなしに、教科横断的活動はいかに進められるべきか。

それらの事項の検討は、急務となっている。将来のための責務として、ぜひとも進めていかなければならない。

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