子供の貧困と国語教育を語る 作家の森絵都さんがトークライブ

子供の貧困について語る渡邊さん(左)、森さん(中央)、稲葉さん
子供の貧困について語る渡辺さん(左)、森さん(中央)、稲葉さん

特定非営利活動法人キッズドアは2月22日、スペシャル・トークライブ「小説『みかづき』に見る子供の貧困」を開催した。小説の著者である森絵都さんのほか、集英社編集者の稲葉努さん、同法人理事長の渡辺由美子さんがそれぞれの立場から『みかづき』を通して見えてくる日本の子供の貧困について語り合った。森さんは、国語教育では、さまざまな視点から子供の言葉を引き出す大切さを話した。

『みかづき』は、昭和から平成にかけての塾業界を舞台に、親子三世代にわたって奮闘を続ける家族の物語。本屋大賞にもノミネートされている。

森さんは、無料学習会を物語の中で描写するのに当たり、キッズドアが行っている塾に通えない子供やひとり親家庭を対象にした学習会を取材。実際に授業の様子を見学したとき、「授業を教えるボランティアと子供の距離が、思った以上に近かった。知らない人たちが親身になって教えてくれる。それは、子供たちのこの世界に対する信頼につながっていくと感じた」という。

参加者から「国語でどういう力を身に付けていくべきか」との質問を受けて森さんは、「自分の思いを誰かに伝えられる表現力を身に付けられたらよいと思う」と答えた。

塾経営者からは、「表現力を身に付けてもらうためには、どう教えていったらよいか」との質問があった。これに対しては「自分の考えを全く伝えられない子には、一から答えさせるのではなく、選択肢を与えるのがよいのでは」と答えた。

続けて森さんは、小学生のときの印象に残っている国語の授業について話した。物語を読んだ後、先生は「主人公に手紙を書くなら?」「質問するなら?」「この物語の続きは?」などといった具合に、違った視点から子供たちの言葉を引き出していたという。「心の中を引っ張り出してくれる授業で、おもしろかった。感想を聞かれるだけではないから、広がりがあるし、みんなの話を聞くのも発言するのも楽しかった」と懐かしんだ。

作文を提出した際も、何度も直され、文章を磨き上げられたという。森さんは、その先生に影響を受け、文章が好きなまま大人になったという。

最後に、「子供の6人に1人が貧困」とさまざまな場面で取り上げられつつも、その数字だけが独り歩きしている現状を指摘。「その1人がどういう状況なのか、実態が世間に知られていけば、何とかしなければと活動が広がっていく。そういうものを取り上げていくのが私たち小説家の仕事なのではないか」と話した。

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