小学校音楽科学習指導要領案 学びの深まりのカギに

学習指導要領案 教科・領域改訂のポイントをどう考えるか 〈15〉小学校音楽科

2月14日に公表された学習指導要領案の小学校音楽科について、改訂のポイントを、文科省の教育課程部会の芸術ワーキンググループの委員を務めていた宮﨑新悟富山県黒部市立たかせ小学校校長は、次のように指摘する――。


◇音楽的な見方・考え方を働かせる◇

音楽科における今回の改訂案では、着目すべき点が多い。教科目標はこれまで総括目標として一文で示されていたが、改訂案では(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等――に関する目標として示されている。各学年の目標も同じ構造である。この三つの柱は相互に関連し合い、一体となって働くことが重要であり、別々に分けて育成したり、「知識・技能」を習得してから「思考力・判断力・表現力等」を身に付けたりするといった順序性を持つものではない。このことに留意することが大切である。

三つの柱で整理された資質・能力を育成するために「音楽的な見方・考え方を働かせる」ことが必要であることが示されている。小学校では「音楽に対する感性を働かせ、音や音楽を、音楽を形づくっている要素とその働きの視点で捉え、自己のイメージや感情、生活や文化などと関連付けること」(平成28年12月21日、中教審答申)と考えられており、音楽科における学びの深まりのカギとなると期待したい。

◇特質を踏まえて整理◇

指導項目は現行と同じく「A表現」(歌唱、器楽、音楽づくり)、「B鑑賞」及び〔共通事項〕で構成されているが、表現の各事項については、「思考力・判断力・表現力等」「知識」「技能」に関する資質・能力別に、鑑賞の事項については、「思考力・判断力・表現力等」「知識」別に示されている。「知識・技能」を「知識」と「技能」に分けて示しているのは、歌ったり演奏したりする「技能」の習得が重要な役割を果たすという、音楽科の特質を踏まえた整理だと捉えられる。

〔共通事項〕は、表現および鑑賞の学習において共通に必要となる資質・能力として示されている。「A表現」「B鑑賞」と合わせて十分な指導が行われるような工夫が求められる。また〔共通事項〕に示す「音楽を形づくっている要素」については学年別ではなく、「児童の発達の段階や指導のねらいに応じて、適切に選択したり関連付けたりして指導すること」と示されたことも着目すべきポイントの一つである。なお、音楽の仕組みで示されていた「問いと答え」は、改訂案で「呼びかけとこたえ」と変わり、教師や子供たちにとって分かりやすい表記になったと考える。

◇意識を改善し指導を充実◇

改訂案では、音楽科で育成する「知識」を「曲想と音楽の構造などとの関わりについて気付いたり理解したりすること」と示されたことも着目すべきことである。「はじめ・なか・おわり」といった音楽の形が分かることや、用語や記号の名称が分かることを求める知識としていない。「曲がゆったりとした感じからはずんだ感じに変わったのは、前半では長い音が多かったけど、後半ではタッカのリズムが使われて、音の動きが大きくなったからだ」というように、両者の関わりについて子供が自ら気付いたり理解したりできるように、効果的な手立てを工夫することが求められるといえよう。

音楽づくりについては、現行の「音遊びや即興的に表現すること」「音を音楽へと構成すること」という内容を踏襲しつつ、「設定した条件に基づいて」表現する技能や、「音楽の仕組みを用いて」音楽をつくる技能が示された。また「どのような音楽を、どのようにしてつくるかなどについて、児童の実態に応じて具体的な例を示しながら指導するなど、見通しをもって音楽づくりの活動ができるように指導を工夫すること」が配慮事項として示された。

音楽づくりの指導に対して、どちらかというと苦手意識をもつ教師は多かったが、今後、意識が改善され、指導の充実が図られるのを期待したい。

和楽器を含むわが国や郷土の音楽の学習については、配慮事項に「(前略)曲にあった歌い方や楽器の演奏の仕方などの指導方法を工夫すること」が示された。また、中学年で取り扱う旋律楽器の例示に、これまで高学年のみで示されていた和楽器が追加された。

表記の充実に伴い、わが国や郷土の音楽の学習指導の充実が図られることを期待したい。

【関連記事】

◯【新】学習指導要領の関連記事

関連記事