脱傍観者に ネットいじめで映像教材開発し中1に

自分の考えを話して分かち合う生徒
自分の考えを話して分かち合う生徒

いじめの傍観者から一歩を踏み出してみよう――。千葉県柏市立土中学校(鈴木淳一校長、生徒数248人)の1年1組22人は5月22日、ネットいじめに関する授業で、考えを深めた。

NPO法人企業教育研究会の竹内正樹さんが、「私たちの選択」を主題に、ドラマし仕立てのオリジナル映像教材を用いて授業を展開した。

映像は11分ほど。自慢話やいつも一言多い男子生徒をめぐって起こったトラブルについて考える内容。男子が、テストの成績で学級の他生徒を見下す発言をした。これをきっかけに、ネットにこの男子への悪口が書き込まれ、内容が次第にエスカレート。これを見ながら、なんとかしなければと思った、いつもは内気な女子生徒がとった行動について考えていく。

教材は、女子生徒がとる異なる行動について選択肢を2つ示し、生徒に選んでもらう。①は女子が勇気を出して書き込む。②は女子は何もしない。「さて、私たちこのクラスの選択はどっち」と問い掛け、①と②にそれぞれ挙手してもらう。このクラスの結果は、①と②で18人対4人。この選択に従い、パソコンが確率的に①と②のそれぞれの続きを選択して示す。授業では①が選択された。そこには、書き込んだ意見への賛同が広がり、ネットいじめが収束していくシナリオが展開。生徒からは②も見たいとの意見が出たので視聴。「このままでは」とは思ったものの、女子はなにもせず、男子がますます追い込まれていく。

選択場面では、自己内対話をして自分ならどうするかを考えさせ、グループでそれを分かち合い、意見を発表する機会が設けられた。①に賛意を示す生徒らからは「誰かが『悪口はやめよう』と勇気をもって言わなければ、ネットいじめはなくならない」と発表。②に賛同する生徒は「やめさせたいという気持ちはあっても、書き込んだら今度は自分がいじめられるので怖い」と話した。

授業では、①も②も受け入れながら、「もし何かできるとしたら、こんな方法もある」として、ネットいじめについて匿名で知らせたり、相談したり、助けを求めたりできるアプリ「STOPit(ストップイット)」を提示。市教委や電話いじめ相談などを通して、いじめの傍観者から一歩を踏み出すきっかけにしてほしいと語り、授業を終えた。

授業を受けた藤田雪乃さん(12)は、「はじめは②を選んだけれど、できるだけ早く、何か行動を起こさないと、どんどんひどいことに発展してしまう。傍観者でいないようにしたいと思うようになった。使う機会があれば、アプリを使ってみたい」と話した。

映像教材は、千葉、静岡、名古屋の3大学による共同研究に基づき、敬愛大学が連携。藤川大祐千葉大学教育学部教授が監修。授業を同教委とともに開発した。

藤川教授は「脱傍観者に絞った映像教材は、他に無いようだ。授業では①と②の選択は半々ほどか②が多い。生徒に結論を強いるのではなく、考えるのを大事にしたい。いじめでは、傍観者がどう動くかがひとつのカギ。クラスの雰囲気が、傍観者のままでいるのか、何らかの行動に出るのかを左右する。その意味で、この映像教材を、クラスの雰囲気づくりにも結び付けてほしい」などと話す。

同授業は、同市立の全20中学校1年生で1学期中に実施。市教委ではその後、アプリ「STOPit」を、市立中学校の全生徒が使えるようにするという。