次世代トップランナー 日野田直彦 深い学びの授業は協働開発で

日野田直彦大阪府立箕面高校校長
日野田直彦大阪府立箕面高校校長

大阪府の公募等校長制度により、平成26年度に府立箕面高校に赴任し、当時37歳の最年少として注目された日野田直彦校長。着任後はグローバルリーダーの育成をめざし、ベルリッツとの提携や、MIT、ハーバード大学の学生とのワークショップを積極的に実施。わずか3年で、ミネルバ大学やウェズリアン大学などの海外大学に延べ20人以上を現役合格させた。自身も帰国子女である日野田校長に、世界の視点から見た日本の教育について聞いた。哲学やチャレンジする気概、協働で開発する深い学びの重要性などを強調する。

――教員をどうマネジメントしているか。

赴任当初は、教科準備室まで行き、時にはお茶やお菓子を持って、先生のやりたいことや困っていることを聞いてまわった。その後、少人数のミニマムプロジェクトを複数つくって、実施と改善を繰り返した。現場に出した業務命令はただ1つ、「チャレンジしましょう。失敗したら私が責任をとります」だった。

――若い教員や教員志望者にアドバイスは。

教員は「今、世界で求められている力」を理解し、それを子供たちに提供すべきだ。学習に有用な素材を持ち寄って、ファシリテーションスキルを磨くといい。何が有用で、どうファシリテートすればいいかは、自分で研究する。海外事例などを参考に、インプットを増やす必要がある。

――新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」の実現には、どう取り組むか。

経験のない「主体的・対話的で深い学び」は、研修に参加しても自力では難しい。ノウハウを持つ海外の大学や外部の民間企業と協働開発をするなど、一緒に解決するやり方がベストだ。教員の負担軽減を考えると、授業は外部と協働開発するべき。本来、学校は協働開発するところだと考える。
また子供と対話を繰り返して、人間性を強くする指導をすべきだ。本校は「君はいったい誰だ。何がしたいのか。社会にどう貢献するか」と問いかけ、子供たちに自分と向き合う機会を与えている。教員と生徒が対話や議論から新しい学びを見つける。この姿勢こそが、本来の「哲学」だと考えている。日本人は哲学を持つ人が少ない。海外の人が積極的なのは、彼らには哲学があるからだ。

――平成32年度の大学入試新テストをどう捉えるか。

新テストは、世界の入試制度をもっと参考にしたほうがいい。そもそもどのような人材を大学は求めているのか。現行の試験や新テストは、本来欲しい人材を取るためのシステムになっているのか。「どれだけ他人と違う個性を持っていて、どうやって個性を社会に貢献できるか」を伸ばすのが大学のはずだ。

――世界の視点から、日本の教育への提言は。

教育界としてどうなりたいのか、どうしていきたいのかがなく、方法論の議論になっている。大学入試は、大学をどう残すかではなく、どういう学生が欲しいかという視点で考えるべきだ。
今は世界中で、人材・人財の取り合いが行われている。海外から見れば、日本の高校生の偏差値は大差ない。学校の成績がある程度取れていて、情熱のある子供は、世界の大学でも欲しがっている。世界TOP1000のうち約700以上の大学が、“Common Application”(コモンアプリケーション)というサイトに登録している。世界中の大学を受ける学生が、そのサイトに集まるからだ。しかし、日本の大学はほとんど載っていない。日本の大学は、まだまだ世界に視野を広げていない。
苦行のような授業も変えるべきだ。ワクワクできて楽しい授業にすればいい。教員がチャレンジしたら、子供もチャレンジする。子供は意外と教員の背中を見ている。

――いま、どのような学校改善策を考えているか。

学校にバカンスを取り入れたい。教員には、家族や自分の時間も大事にしてほしい。教員が休んでいるときは、子供たちに自律的に学習をさせればいい。教員がハッピーでないと、子供もハッピーにならない。

1日の勤務時間を短くしたい。補習や補講、夏季講習がなくても、学ぶ力は伸ばせる。なぜ学習するのか、目的意識とモチベーションコントロールを教えれば、子供たちは主体的に学ぶはずだ。

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