未来をつくる学校とは 先生展でシンポジウム

これまでの学校観・教師観の再考を迫った
これまでの学校観・教師観の再考を迫った

(一社)「Teacher’s Lab.」が主体の「未来の先生展2017」が8月26、27の両日、東京都江東区の武蔵野大学有明キャンパスで開催された。2日間で教員、教育関係者延べ約2400人が参加した。

26日の午前には、「未来の学びシンポジウム」が開かれ、シュタイナー教育やESD、オルタナティブ教育をヒントに、不確実な未来を生きる子供たちに、学校や教師はどうあるべきかが話し合われた。登壇者らは「成長から変容へ転換しなければならない」と会場に投げ掛けた。

シンポジウムでは、冒頭で相模原市のシュタイナー学園の川本潤広報室長から、さまざまな統計データをもとに、超少子高齢化社会を迎える日本社会の姿が示された。それらを踏まえて川本氏は、「競争社会は行き着くところまで行き着いた。これ以上資源もない。これからは0から1を生み出す力が必要だ。ワークシフト、ライフシフトなどに続く、エデュケーションシフトが求められている」と問題提起した。

永田佳之聖心女子大学教授は、他国に比べて日本の若者が、自分自身に創造性がないと感じているとし、教師も同様だと指摘。「未来の先生とはどんな先生なのか。いつも努力する先生や子供の質問に何でも答えられる先生から、いつも学び続けている先生、正答のない問いを大切にしている先生、ときには弱さも示せる先生が求められるのではないか」と会場に問い掛けた。また、ESD教育の理念がそのヒントになると話した。

吉田敦彦大阪府立大学教授は、未来を予測し、その社会に対応した教育を行うという発想そのものが通用しなくなっていると主張。京都府京田辺市にある京田辺シュタイナー学校で3人の子供を通わせ、自身も学校運営に携わってきた経験に触れながら、「学校に子供を合わせるのではなく、子供に学校を合わせなければならない」と訴えた。

古山明男古山教育研究所所長は、社会に適応する人材を育成するのが現在の教育であり、学校は自己改革を怠っていると批判。

自身が運営するフリースクールの実践について、「オルタナティブ教育では、評定を取るためのテストはしない。基本的にその人の有り様に焦点を当てる」と述べた。

石黒和己NPO法人青春基地代表理事は、高校生を対象としたPBL型授業の支援活動が、自身が過ごしたシュタイナー学園での経験に基づいていると話した。

また、これまでの議論を踏まえ、「学校を変えるというとき、『変える』の定義を慎重にしないといけない。人は変わりたいと思っているが、変わろうとしても変われない状況に疲れている。むしろ力を蓄えるのに注力すべきではないか」と問い掛けた。

登壇者から共通して出されたキーワードは「成長から変容へ」。参加者からの「成長と変容の違いは何か」という質問に、永山教授は「池の波紋のようなイメージ。変容は内側からの成長と等しい」と述べた。吉田教授は「右肩上がりで進んでいくのが成長だとすれば、変容はそこから一度立ち止まって、別の生き方があるのではないかと問い直す営み」と説明した。

2日間の開催を終えて、「Teacher’s Lab.」の宮田純也代表理事は、手応えや今後の展望について、「全国から教員だけでなく、企業やNPO、保護者、子供など、多様な立場の人たちが参加し、コンセプトである『つながる、ひろがる、うまれる』が体現されていた。ゆくゆくは、社会・世間一般に対して、教育の可能性と意義を訴え、社会的地位をさらに向上させていきたい」と語った。

関連記事