渋谷区で教育クーポン提供 貧困世帯の中学3年生に

NPO法人や民間企業が一体となり、教育格差の解消に取り組む
NPO法人や民間企業が一体となり、教育格差の解消に取り組む

(公社)チャンス・フォー・チルドレンなどのNPO団体や企業で運営する団体「スタディクーポン・イニシアティブ」は10月12日、文科省で記者会見を開き、東京都渋谷区と連携して、寄付金を原資にした「スタディクーポン」を提供すると発表した。学校外での教育格差をなくすのが目的で、同区内の貧困世帯の中学3年生が対象。高校受験のための学習塾代などとして、学習塾や教育支援NPOなどの提携教育機関で利用できる。

クーポンを受け取った教育機関には、同事務局からサービス料が支払われる。使途が教育サービスに限定されるため、貧困家庭でも確実に教育費に充てられるだけでなく、子供にとっては自分に合った学習支援を選べるメリットがある。

対象は同区内に住む低所得者世帯の中学3年生で、1人当たり20万円分のクーポンを提供する。資金はクラウドファンディングで募る。初年度となる30年度は1千万円を目標額とし、33人程度に提供する。また、大学生ボランティアによる定期的な進路相談も行う。

同区では、学校やケースワーカーを通じて、クーポンに関する情報提供などを行うが、財政的な支援はしない。

長谷部健同区長は同日の会見で、「行政は、どうしても学校が主体になる。学習塾などの学校外教育に税金を投入すべきかという議論もある。行政の手が届かない部分にNPOが入り、支えてくれれば」と期待を寄せた。同区では公立中学校に通う約3割の生徒が就学支援を受けており、相対的貧困が課題になっているという。

スタディクーポン・イニシアティブでは、同区での取り組みを通じて、利用した生徒の学力向上、進路状況などを検証するとともに、ノウハウを蓄積して、31年度以降に他自治体へ普及を図る。さらに、国レベルでの政策化も視野に入れている。

東北や関西の貧困世帯の子供に教育クーポンの提供を行ってきた、今井悠介チャンス・フォー・チルドレン代表は「教育格差は子供たち自身の努力でどうにかできる問題ではない。子供の気持ちや、将来の夢を叶えてあげたい。そのために、社会全体で解決していきたい」と賛同を呼び掛けた。

クラウドファンディングの期間は、11月30日まで。同プロジェクトに賛同する事業者や、進路相談ボランティアも今後募集する。

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