全国市長会が緊急アピール 子育てフォーラムで発表

子育て施策の緊急アピールについて議論された
子育て施策の緊急アピールについて議論された

全国市長会は11月16日、東京都千代田区の全国都市会館で「子ども・子育てフォーラム」を開いた。同会が子育て施策に特化したフォーラムを開催するのは初めて。パネルディスカッションでは、「子どもたちのための緊急アピール」を発表。消費税の10%増税などの確実な財源確保を行い、地域の実情に応じた子育て施策を実行するよう、国に働きかけていくとした。

テーマは「子どもたちのために、今、緊急に求められていること」。全国から約150人の市長が集まり、子育て施策の方向性や、各地の先進的な事例について意見交換した。

加藤勝信厚労大臣は冒頭のあいさつで、安倍政権の人づくり革命に触れ、「消費税の使い道の見直しを通じて、待機児童の解消、幼児教育・保育の無償化に向けた施策パッケージの取りまとめをしている。現役世代に対する社会保障を充実させ、全世代型の社会保障を進める。仕事をしながら子育てや介護ができる環境をつくっていかなければならない」と述べた。

元厚労事務次官の村木厚子津田塾大学教授による基調講演では、「子ども・子育て施策は何を目指してきたか」を議題に、社会保障改革における子育て支援施策の方向性について論点を整理した。村木教授は、子育て施策に必要な視点として、▽給付や母親の就労、保育サービスによる金銭的再配分▽労働時間や父親の育児への参加などの親の時間投資▽家庭の学習文化の重要性と、そうした環境にない子供への社会的支援――を挙げ、「子育てに金と手間と暇をかける。そうなれば、この国はもっと良くなれる」と話した。

パネルディスカッションでは、清原慶子東京都三鷹市長、村木同大教授、吉田学厚労省子ども家庭局長、大西秀人香川県高松市長、泉房穂兵庫県明石市長が登壇し、少子化対策や子育て支援施策、自治体での先進的な取り組みなどを議論した。

吉田局長からは、国が進める子育て支援施策に関する動向について、泉市長からは、同市の子育て施策に重点化した取り組みについて報告があった。同市では、第2子以降の保育料の無料化や中学生までの医療費の無料化、小学校区ごとにこども食堂を開設するなど、思い切った子育て施策を打ち出した結果、人口が増加し、税収も増えるなどしているという。

全国市長会の社会文教委員会委員長である大西市長から、同フォーラムを通じ、国に向けて実行力のある子育て支援施策の充実化を求める「子どもたちのための緊急アピール」が提案された。

緊急アピールでは、国が子育て支援施策の充実強化、基盤整備を進めるとともに、自治体が地域の実情に応じた施策を実施できるよう、次の事項を求めた。①消費税・地方消費税10%への引き上げによる財源確保②幼児教育・保育の無償化に向けた、地方との協議と財源確保③子供の医療費に関する全国一律の保障制度の創設と国保の減額調整措置の全面廃止④子供の貧困対策の強化⑤児童虐待防止対策などの強化に向けた支援――。

大西市長は個人的な印象とした上で、「自治体にとって、子供たちの問題は放っておけない。各自治体が創意工夫しながら、自らの財源を使って取り組んでいる。それに比べて、国の覚悟が足らない。国の真剣度が伝わってこないというのが実情ではないか」と指摘した。

緊急アピールの全文は次の通り。

◇ ◇ ◇

子どもたちのための緊急アピール
~すべての子どもの健やかな育ちを目指して~

少子長寿化が進展する中、我が国が将来にわたり活力を維持し、成長し、人々の暮らしの質を高めていくためには、国と地方が連携して、少子化という構造的問題に真正面から取り組み、若い世代が安心して、結婚、妊娠・出産、子育てができる社会を構築しなければならない。

我々都市自治体は、子どもたちに一番近い立場で、子どもたちの視点に立ち、すべての子どもの健やかな育ちを目指して、日夜、子どもたちを中心とした支援策を創意工夫し、その実施にまい進している。

国は、都市自治体にとって、子どもたちのための子ども・子育て支援施策の充実強化が喫緊の課題となっていることを踏まえ、根幹となる全国共通の基盤を整備するとともに、都市自治体が地域の実情に応じた施策を実施できるよう、以下の事項を実現されたい。

1 消費税・地方消費税率10%への引上げによる必要な財源の確実な確保を

国は、子ども・子育て支援施策を着実に展開できるよう、消費税・地方消費税率10%への引上げを確実に行うこと。それまでの間においても、施策の推進に支障を来すことがないよう、所要の財源を確実に確保すること。

2 幼児教育・保育の無償化等の具体化に向け、地方との十分な協議と地方財源の確保を

幼児教育・保育の無償化等の「新たな政策パッケージ」の具体化に当たっては、現場を預かる都市自治体と十分に協議をし、必要な地方財源を確保すること。また、待機児童の解消に向けて、保育人材の確保に係る支援や保育士の更なる処遇改善を図るとともに、放課後児童健全育成事業を地域の実情に即して実施できるよう、「従うべき基準」を「廃止」または「参酌基準」化すること。併せて、保育施設等の建て替えや施設整備等に必要な財政措置を講じること。

3 子ども医療費に係る全国一律の保障制度の創設及び国保の減額調整措置の全面廃止を

我が国の将来を担う子どもたちのため、少なくとも未就学児までの子ども医療費については、全国一律の国の保障制度を創設すること。また、子どもの医療費助成に係る国保の減額調整措置については、全面的に廃止すること。

4 子どもの貧困対策の強化を

ひとり親家庭や多子世帯への支援策の強化、給付型奨学金の拡充等による教育費負担の軽減、進学支援の拡充等、子どもの貧困対策及び自立支援を更に総合的に推進し、必要な財政措置を講じること。

5 児童虐待防止対策及び支援施策を強化するための一層の支援措置を

児童虐待防止対策及び支援施策を強化するため、職員の研修体制の整備、専門職配置のための財政措置の拡充、児童相談所設置に当たっての適切な支援措置等、総合的に対策を拡充すること。

平成29年11月16日
全国市長会 子ども・子育てフォーラム

関連記事