5市区町が計画報告 スマートスクール実証事業で

文科・総務両省は11月21日、次世代学校支援モデル構築事業とスマートスクール・プラットフォーム実証事業に関する合同の会合を、都内で開催した。同事業の実証地域から事業計画について報告があり、各委員から質疑が行われた。子供の学習履歴や保護者などの個人情報をどのように扱うかや、学習系システムと校務支援系システムの連携によるセキュリティーの確保などが、課題として指摘された。

両事業の実証地域である▽福島県新地町▽東京都渋谷区▽大阪市▽奈良県奈良市▽愛媛県西条市――の5市区町が、それぞれの事業概要を発表した。

これまでもICT利活用を進めてきた新地町では、各学校の課題やニーズに基づき、出欠情報や成績情報などの校務計システムと、ドリル学習履歴、アンケート結果などの授業・学習系システムを連携させ、各種データを整理して、表示するシステムや教員が瞬時に把握できるシステムを構築。授業の板書記録についても共有化し、教員同士の指導力向上に役立てる。

渋谷区では、今年9月から実施している児童生徒1人1台のタブレット環境を生かし、個に応じた指導の充実を図る。また、児童生徒アンケートを実装化し、フィードバックできるようにすることで、教員の指導力向上などにつなげる。

経験10年未満の教員が過半数を占めるという課題を抱える奈良市では、学習記録などを蓄積・整理し、児童生徒の学力向上と教員の指導力向上を図る。これらのデータに基づいた、対話による対応策の検討などを行い、教員同士の学び合いを促す。

大阪市では、行政、校務、教育の3つのシステムを連携させ、学力の向上や教員の指導力向上、学校経営の改善や教育施策の企画立案に役立てる。具体的には、学習履歴や校務支援、行政の持つ各種データなどを、SKIPと呼ばれるダッシュボードによって見える化する。

西条市では、学習系システムと校務系システムのデータを、中間サーバを介して連携。自治体や学級、児童生徒個人に「カルテ」として提供し、エビデンスに基づいた改善につなげる。
また、テレワークシステムを導入し、教職員が自宅や出張先でも校務ができるようにして、多様な働き方を実現する。

参加した両事業の事業推進委員・評価委員からは、児童生徒の成績や学習履歴、保護者の経歴など、個人情報に関わるデータを扱う技術的・法的リスクや、セキュリティー対策の検証方法、将来的な自治体間でのデータの活用などに関する質問が相次いだ。

委員長の清水康敬東京工業大学名誉教授は、「同事業は、システムを3年間で構築すればいいというものではない。実際に今あるシステムを使って、どれくらいデータ連係をして、教育の質的向上ができるかが重要だ。今年度中にシステムを構築し、2年目、3年目は実証の段階に入り、実際の運用や課題を探るようにしてほしい」と要望した。

両事業はこれまで独立していた校務系支援システムと授業支援系システムを連係させ、データの利活用などを進める。実証期間は、平成31年までの3年で、成果や課題を検証し、標準仕様に向けた取りまとめなどを行う。

また、同会合の第2部として、スマートスクール・プラットフォーム実証事業における「次世代学校ICT環境」の実証団体の事業概要に関する報告も行われた。

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