学力調査の活用事例を分析 各教委の授業改善など

文科省は11月28日、平成28年度の「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」の成果報告書を公開した。このうち、㈱内田洋行が実施した事例研究では、各教委が全国学力・学習状況調査の結果を活用し、どのように教育施策や授業の改善に取り組んでいるかなどを明らかにした。

同社が行った「全国学力・学習状況調査の結果を活用した教育施策や教育指導の改善に資する調査研究」では、同調査のデータ活用について、▽多忙な学校が具体的にどのように取り組めるか▽教委がどのように学校を支援できるか――を目的に、京都市をはじめ、浜松市、堺市などの政令市・中核市の事例を分析した。

京都市では、個人で各種調査の結果を確認できるシステムを導入し、学校ごとのクロス集計を出力できるツールを配布。各学校の課題を速やかに把握し、教員研修などに反映させた。

浜松市では、大学教授、教員、指導主事による「浜松市学力向上分析委員会」を設置し、自校で採点できるツールを希望校に配布。教職員版・保護者版のリーフレットを作成した。

堺市では、学力を公表する際の工夫として、生徒自身の個人票をポートフォリオとして綴じ込む「わたしの学びファイル」を作成・配布した。

同調査では、大規模自治体ではツールの配布などの取り組みを行える一方で、小規模自治体では学校自身による分析ワークショップを教委が支援するような、直接的な学校支援の可能性が示唆された。

この他に、28年度の調査研究には、①広島大学による「全国学力・学習状況調査の結果を用いた小学校6年生から中学校3年性への学力等の状況の変化に関する調査研究」②福岡教育大学による「児童生徒や学校の社会経済的背景を分析するための調査の在り方に関する調査研究」③岐阜大学による「質問紙調査の項目及び分析手法に関する内外調査研究」――が報告された。

①では、25年度調査で小6だった子供について、中3の28年度調査での学力の変化を把握・分析し、その手法の確立を目指した。28年度の学力に対する、25年度の学力の影響は、学校レベルよりも個人レベルの影響が強いのが分かった。

②では、児童生徒や学校などが置かれている社会経済的背景を分析するために、現状の各種調査で利用可能なデータから、指標となり得るものを検討した。「家庭にある本の冊数」が有力な指標として挙げられた。

③は質問紙調査の改善のため、国内での学習状況調査の再分析や独自調査を実施している事例、海外の事例などを収集し、質問項目などを分析した。