過労死遺族らが要望 学校の働き方改革中間まとめ案で

研究者や過労死の遺族などで構成される「教職員の働き方改革推進プロジェクト」の青木純一日本女子体育大学教授らは12月4日、学校における働き方改革に関する中間まとめ案に対する見解を示し、下間康行審議官(初中教育局担当)に提出した。同見解では、中間まとめ案に一定の評価をしつつ、実効性のある取り組みを具体化するよう求めた。

特に、①国から学校現場に求められるさまざまな業務の廃止・統合・簡素化②教員の職務範囲を明確化する教員職務標準表に基づいた業務改善③中学・高校の部活動における休養日の設定と総量時間規制の導入④学校徴収金の公会計化の推進⑤教員定数の配置改善⑥外部専門スタッフの配置に向けた財政支援⑦統合型校務支援システムの全国的な整備への財政支援――などを、重要課題に挙げた。

また、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)が、教員の公務災害認定において高い障壁となっていると指摘し、中教審の議論で今後の検討課題とされた同法の抜本的見直しを求めた。

同プロジェクトには、内田良名古屋大学准教授、広田照幸日本大学教授、本田由紀東京大学教授、油布佐和子早稲田大学教授ら研究者をはじめ、教育評論家の尾木直樹氏、ジャーナリストの白河桃子氏、過労死の遺族などが呼び掛け人になっている。

同見解の内容は次の通り。

「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(中間まとめ)」【案】に対する見解

2017年12月4日
教職員の働き方改革推進プロジェクト呼びかけ人一同

本年11月29日、中央教育審議会の「学校における働き方改革特別部会」において示された標記の中間まとめ(案)に対する私たち教職員の働き方改革推進プロジェクト呼びかけ人一同の見解を明らかにする。

文科省の教員勤務実態調査やOECDの国際教員指導環境調査(TALIS)などの各種調査でも明らかにされているように、我が国の学校教員の長時間過重労働による多忙化の問題は極めて深刻な状況にあり、教員の勤務実態の抜本的改善は直ちに取り組まなければならない喫緊の課題である。このような課題意識に立って、中教審・学校における働き方改革特別部会は、長時間勤務の是正など持続可能な教師の勤務環境の整備に向けて、緊急に講ずべき総合的な方策をとりまとめたことは一定の評価ができるものである。

しかしながら、問題は、今回の中間まとめが、教員の長時間労働を縮減するとともに、教員が学習指導や生徒指導などの本来的な業務に専念できる環境を確実に整備するための実効性ある取り組みとして具体化されるかどうかにかかっていることである。

とりわけ、①「教育改革」の名の下に、国から学校現場に押し付けられている多岐にわたる計画の作成業務をはじめ様々な業務を真剣に見直し、廃止・統合・簡素化などの措置を講ずることにより、学校と教員の業務負担の改善を図ること、②教員の業務範囲を明確化する教員職務標準表の作成とそれに基づく業務改善を進めること、③中学校・高校における多忙化の最大原因である行き過ぎた部活動指導の在り方の改善を図るため、週2日の休養日及び総量時間規制を設定すること、④学校徴収金の徴収・管理業務の「公会計化」の推進など、事務的業務からの解放などを強力に進めることが必須である。

また、教員の長時間労働の縮減のためには、必要な財政措置を講じ、教育条件整備を進めることが何よりも求められており、⑤教員の担当授業時数の削減や生徒指導担当教員の充実に向けた教員定数の配置改善、⑥部活動指導員をはじめ外部専門スタッフを地域格差なく配置するための財政支援、⑦教員の出退勤時間管理のためのタイムカードの設置や教務事務等の効率的な処理を可能とする「統合型校務支援システム」の全国的な整備への財政支援などは、待ったなしの最重要課題であることを訴えたい。

最後に、今回の中間まとめでは、「教員の自発性、創造性に基づく勤務」として事実上無定量の長時間勤務を容認している「給特法」が何ら時間外勤務の歯止め措置になっていない実態を踏まえた議論がなされず、今後の検討課題とされたことは遺憾である。「給特法」が、教員の公務災害認定において高い障壁になっていることを中教審委員、文科省は直視すべきである。

今後、特別部会において「給特法」の在り方を議論するに当たっては、教員の時間外勤務の業務範囲を明確化するなど「超勤限定4項目」を見直し、時間外勤務についての36協定締結権の付与や協定に基づく時間外勤務の上限規制の設定などの抜本的な見直しに向けて、労働法学の専門家の知見を有効に活用しつつ、教員の長時間労働縮減のための実効性ある法制度の構築を検討することを切に要請するものである。

以上

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