教育勅語問題で日本教育学会が報告書 政府答弁に懸念

教育勅語の教材使用の問題点を説明する中嶋教授(中央)ら
教育勅語の教材使用の問題点を説明する中嶋教授(中央)ら

日本教育学会(広田照幸会長)は12月12日、「教育勅語の教材使用問題に関する研究報告書」に関する記者会見を文科省内で開いた。教育勅語の学校教育への使用を容認するかのような政府答弁が国会で行われたとして、懸念を表明した。

今年の第193回国会において、政府は▽教育勅語には普遍的な道徳的価値が含まれる▽唯一の指導原理としない限り、教育勅語の理念を教育に生かせる▽日本国憲法・教育基本法に反しない限り、学校・設置者の判断で教育勅語を教材として用いるのは可能――とする旨の答弁を行った。

これに対し同学会では、今後学校において教育勅語を肯定的に扱ったり、教育勅語を指導原理とする教育が行われたりするのを危惧。

「1948年に衆参両院で教育勅語の排除・失効確認が決議されているなど、今日では教育勅語を公教育の場で肯定的に扱う余地はなく、政府答弁は教育勅語を教材として使用する具体的な判断を示さず、教委などの学校設置者に委ねてしまっている」と指摘した。

報告書は291ページに及び、教育勅語が戦前の学校教育にもたらした影響や、戦後の教育基本法の下で教育勅語が排除された経緯、193回国会における答弁の問題点などを詳細な資料と共に整理した。学術的な報告書では異例の「Q and A」も設けた。報告書はすでに同学会ホームページ(http://www.jera.jp/20171201/)で公開しているほか、各都道府県教委などに配布する。

報告書を取りまとめた同学会教育勅語問題WG座長の中嶋哲彦名古屋大学教授は「政府答弁の後、地方議会の場で教育勅語を肯定的に扱うよう求める質問があり、どう答弁すれば良いか教委から相談を受けた研究者もいる」と話し、教委などに対し、報告書の「Q and A」を参考にしてほしいと強調した。