授業料減免の大学に要件 100年時代会議が中間報告

ここまでの議論を総括する安倍首相(首相官邸HPより)
ここまでの議論を総括する安倍首相(首相官邸HPより)

安倍晋三首相を議長とする人生100年時代構想会議は12月19日、第4回会合を首相官邸で開き、同会議の中間報告案を取りまとめた。12月8日に閣議決定した2兆円規模の新経済政策パッケージを踏まえ、幼児教育の無償化や待機児童の解消、高等教育の無償化などの具体的な方向性を示した。高等教育の無償化では、授業料を減免する学生や大学に対して、成績や教育内容に関する要件を設ける案を盛り込んだ。

幼児教育の無償化では、子育て世代の負担や幼児期の教育効果の重要性を強調。具体的内容として、▽3歳~5歳児の幼稚園、保育所、認定子ども園の費用無償化▽子ども・子育て支援新制度の対象外の幼稚園では、同制度の利用者負担額を上限とした無償化▽住民税非課税世帯に対し、0歳~2歳児の第一子も無償化――などを示し、2019年度から一部をスタートし、20年度以降、全面的に実施するとした。就学前の障害児の発達支援の無償化や、医療的ケア児への看護師の派遣などの支援事業の拡充も盛り込まれた。

待機児童の解消では、32万人の受け皿を整備する子育て安心プランの前倒しを進め、20年度末までに実現する。保育士の確保や処遇改善では、19年度から1%(月3千円相当)の賃金引き上げを行うとした。19年度末までに約30万人の受け皿を確保するとしていた放課後子ども総合プランについても、来年度までに前倒しする。

私立高校の授業料無償化は、消費税の使途変更による現行制度・予算の見直しで財源を確保し、段階的に実施する。住民税非課税世帯では実質無償化、年収350万円未満の世帯で最大35万円の支給、年収590万円未満の世帯で最大25万円の支給を行えるようにする。

その上で、20年度までに安定的な財源を確保し、年収590万円未満の世帯を対象に実質無償化を実現するとした。

高等教育の無償化は、20年度から実施する。現状では、低所得者層における大学進学率が低く、格差の固定化を招く恐れがあるため、真に支援が必要な子供たちに対して、大学などの授業料の減免措置と給付型奨学金の支給額を大幅に増やす。

授業料の減免措置は大学などに交付し、学生が支払わなくて済むようにする。住民税非課税世帯の子供たちに対しては、入学金も含め、国立大学では授業料を免除、私立大学ではこれに加え、平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額とする。

給付型奨学金は学生個人に支払い、学生生活に必要な生活費をまかなえるような措置を講じる。給付額の段差はなだらかにし、所得などによって支援の「崖・谷間」が生じないようにする。

ただし、これらの支援対象については、学生、大学共に要件が示された。学生については、高校在学時の成績だけで判断せず、本人の学習意欲を確認するとした上で、進学後の学習状況について、単位数の取得状況や平均成績、処分の有無などで一定の要件を課し、満たない場合は支援を打ち切るとした。

例えば、①1年間に取得が必要な単位数の6割以下しか取得できていない②平均成績が下位4分の1に連続して属した場合③退学処分・停学処分――などが想定されている。休学については一定の配慮を行うよう検討するとした。

大学などについても、特色や強みを生かし、社会的ニーズや産業界のニーズも踏まえて研究(学問追究)と実践的教育のバランスが取れているのが要件とされた。

具体的には①実務経験のある教員による科目の配置②外部人材の理事への任命が一定割合を超えている③成績評価基準を定めるなど、厳格な成績管理を実施・公表している④法令に基づいた財務・経営情報の開示――が挙げられた。

例えば①では、実務経験のある教員が1年間に修得する単位数の1割以上にかかわる授業科目を担当する、②では、理事総数の2割を超える理事に、産業界の外部人材を任命するなどの指標が想定されている。また、今後関係者と審議を行い、これらを踏まえたガイドラインを作成するとした。

なお、同会議の論点として上がっていたリカレント教育と大学改革については、今後も引き続き議論すべき検討課題とされ、来夏をめどに基本構想を打ち出す。

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