クレームや経済格差など 多様な論点から部活動を研究

グループ討議では、参加者が部活動の今後を話し合った
グループ討議では、参加者が部活動の今後を話し合った

12月27日に設立された日本部活動学会では、「部活動の未来を考える」をテーマに、今年3回目となる研究集会も行われた。教員の働き方と部活動の関係にとどまらず、経済格差や文化部の在り方、地域住民からのクレームなど、部活動に関する多様な論点で研究者や教員らが報告した。

特別報告として、教員の長時間労働と部活動の関係性について、名古屋市の教員を対象に行った勤務実態調査が発表された。2016年に名古屋市の中学校教員として採用された新任のうち、64人の月ごとの勤務時間外の在校時間をみると、月平均で過労死ラインの80時間を超える教員は33人いた。また、勤務校に着任した直後の4月、勤務時間外の在校は平均94時間だった。

大半の教員が部活動の顧問を受け持っており、外部指導者が教えていても、月平均100時間を超えるケースがみられ、外部指導者の活用が、必ずしも教員の長時間労働の是正に良い影響を与えるわけではないという結果を示した。

リレートークでは、研究者や教員らが部活動の問題点をそれぞれの立場から指摘した。

中澤篤史早稲田大学准教授は、部活動の課題として、部活動中の生徒の死亡事故や体罰・暴力、教師の長時間労働を挙げ、「生徒の生命と教師の生活という『2つのライフ』を守るのが重要」だと強調した。

神谷拓宮城教育大学准教授は、教育内容の観点から部活動を捉える必要性を指摘した。「部活動の教育内容である自治集団活動を追求・共有し、それと教師の『働き方改革』を連動させていくことが、当面の課題だ」とした。

小野田正利大阪大学教授は、部活動は家庭の経済格差とも関連があると指摘。家庭の経済的な理由で、遠征費やユニフォーム代などが支払えず、「いまや部活動は、やる気や能力の問題ではなく、それを支え続けられる家庭の経済力と相関関係にある」と述べた。

また、同教授は、学校の近隣住民との部活動をめぐるトラブルについても報告。吹奏楽の演奏の音やテニスの打撃音などを迷惑に感じ、学校にクレームが来るケースがあるという。長野県立松本深志高校では、生徒がこの問題の解決に取り組み、住民を交えて「鼎談深志」という意見交換の場を設け、一定の理解を得たという。

文化部の活動に対しても、提言が行われた。

音楽家の長野いつき氏は、毎年夏に開催される全日本吹奏楽コンクールの課題曲が1年前には発表され、冬には、譜面や参考音源の発売も行われていることを問題視した。「参考音源は廃止すべきだ。音楽の練習において、お手本の真似の指導が多い。それは音楽の伝承形態から間違っている」と主張。こうした指導が、結果として長時間練習や譜面を解釈し、表現することの軽視につながっていると指摘した。

競技かるた部の顧問で、高等学校文化連盟(高文連)の大会運営にも携わっている日本女子大学附属高校の由井一成教諭は、「大会前の時期は、帰宅が連日午後10時を過ぎる。家族の理解を得られない。高文連の組織は、手を上げた人がやっているという実態がある。神奈川県のカルタ専門部は4人で回している。負担がかなり大きい」と話し、OB・OGの活用や、生徒を大会運営に関わらせるなどの改革が有効だと提案した。

これらの報告を踏まえ、参加者同士がグループ討議を行った。各グループからは、▽休養日の確保▽子供中心の部活動▽顧問・生徒の選択制導入▽入試における部活動の評価の問題▽新採3年目までは顧問をしない▽安心・安全な部活動――などのキーワードが出された。

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