主体的・対話的で深い学び 自分の力を発揮し続ける授業を

2018年は、小学校での「特別の教科 道徳」のスタートをはじめ、次期学習指導要領への移行措置が実施される。そこで、次期学習指導要領のポイントである主体的・対話的で深い学び、カリキュラム・マネジメント、道徳科に着目。改訂に関わったそれぞれの権威が、円滑な移行に向けたポイントを解説する。さらに、すでにこれらを先取りして、授業や学校づくりに生かしている現場もある。次期学習指導要領が具体化した姿を報告してもらった。

 

〈特集 新学習指導要領移行措置2018(1)〉
n3移行措置01・田村國學院大學人間開発学部初等教育学科教授 田村 学

■「思考・発信型」の授業に

主体的・対話的で深い学びの実現が求められている。授業の主役は教員ではなく、一人一人の子供。子供が持っている力を存分に発揮し、本気で取り組む授業を実現することが欠かせない。そうすることこそが、資質・能力の育成につながる。

資質・能力の育成は、教えてもらうだけで実現できるものではない。繰り返し、何度も何度も自分の持っている力を発揮し続けることが重要である。そのためにも、受け身の「暗記・再生型」の授業を、自ら学び共に学ぶ「思考・発信型」の授業に変えていくことが求められている。

■主体的な学びを実現するイメージ

主体的な学びについては、授業の導入における「課題設定」の場面と、終末における「振り返り」の場面を改善したい。子供は、実生活や実社会とつながりのある具体的な活動や体験を行うことによって、意欲的で前向きな姿勢となる。まずは、リアリティーのあるクオリティーの高い課題設定が欠かせない。それらに加えて、学習活動の見通しを明らかにし、学習活動のゴールを鮮明に描くことも大切である。実際の学習活動を展開していく際には、見通しがあることで学びが連続し、知識や技能が関連していく。

一方、振り返りは、自分の学びを意味付けたり、価値付けたりして自覚し、他者と共有していくことにつながる。

振り返りの場面には大きく3つの意味がある。(1)学習内容を確認する(2)学習内容を現在や過去の学習内容と関係付けたり、一般化したりする(3)自己変容を自覚する――である。それぞれの機能を発揮するには、文字言語によって表現する学習活動などの実施が考えられる。

■対話的な学びを実現するイメージ

対話的な学びについては、異なる人々との「学び合い」を重視することが大切になる。学習のプロセスを質的に高めていくとともに、他者と力を合わせた問題の解決や、力を合わせて新たなアイデアを生み出すことが求められているからである。

対話的な学びを実現し、相互作用によって子供の学びを豊かにするためには、次の3つに配慮したい。(1)子供がどのような知識や情報を持っているか(2)そうした知識や情報をどのように処理するか(3)どのような成果物を期待しているか――である。これらに十分配慮し、相互作用によって豊かに「広がる」対話の場面を実現したい。

■深い学びを実現するイメージ

深い学びについては、「学習のプロセス」を意識することが大切である。問題を解決するプロセス、解釈し考えを形成するプロセス、構想し創造するプロセスなど、教科固有のプロセスを一層充実するようにしたい。

なぜなら、学習のプロセスにおいては、それまでに学んだことや各教科で身に付けた知識や技能を活用・発揮する学習場面を頻繁に生み出すことができるからである。深い学びの実現のためには、こうした学習場面と関連付けることが大切である。

だからこそ、明確な課題意識を持った主体的な学びで知識や技能のつながりを生み、知識や技能を対話によってつなぐ学びが重要である。あるいは、学習活動を振り返り、体験したことと収集した情報や既有の知識とを関連させ、自分の考えとして整理し意味付けたり、それを自覚したり共有したりすることも大切になる。

■ポイントは資質・能力の活用・発揮

深い学びとは、資質・能力が関連付いたり、組み合わさったりしてつながりを持つこととイメージすると分かりやすい。その際の重要なポイントは資質・能力の活用・発揮である。例えば、知識・技能は、活用・発揮することで他の知識・技能などとつながり、ネットワーク化され生きて働く状況となる。

そこでは、知識・技能が関連付いて概念化され、連動して一体化されたものとなることをイメージできる。思考力・判断力・表現力なども、活用・発揮することで、実際の活用場面などとつながり、未知の場面でも対応できる資質・能力として育成されると考えることができる。

さらには、学びに向かう力・人間性などは、学びの意義を実感し、目的や価値、手応えとつながり、人世や社会に生かせる安定的で持続的な資質・能力となることが期待できる。

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