地域を教材に実践する 主体的・対話的で深い学び

〈特集 新学習指導要領移行措置2018(6)〉

北九州市立藍島小学校主幹教諭 園田 誠

■はじめに
地域の方から学び、文化を継承する
地域の方から学び、文化を継承する

本校は、北九州市の小倉港から14キロほど離れたところにある。北九州市内で唯一の離島のへき地指定校である。児童数は男子10人、女子4人の全校児童14人と、とても少なく、複式学級で授業を行っている。

2016年に新校舎が完成し、より充実した環境の中で学習できるようになった。また、学校の周りを美しい海や木々に囲まれるなど、豊かな自然環境にも恵まれている。

「ふるさと藍島を愛し、豊かな心とたくましく生きる力をもった子どもの育成」を学校教育目標としている。特に「ふるさと藍島を愛し」という言葉を大切にしながら、教育活動に取り組んでいる。

また、ユネスコスクールとしてESDにも取り組んでおり、主体的・対話的な深い学びの観点から3つの学習活動を紹介したい。

■藍島盆踊り

藍島盆踊りは、北九州市指定無形民俗文化財に指定され、太鼓2個とたる1個、三味線、音頭取りの口説歌に合わせて踊る。毎年、盆の8月14、15日と8月24日の地蔵盆の日に、渡船場の近くの会場で踊られている。

子供たちは1年生のときから、クラブ活動の一環として藍島盆踊りの練習に取り組んでいる。地域に盆踊り保存会があり、会の方から指導を受けている。

1・2年生は全員、踊りの基本となる「口説き」を教えてもらい練習をする。3年生になると「三味線」か「太鼓」または「口説き」の選択をする。

どれを選択しても、やはり耳で覚え、目で覚える部分が大きい。また、演じ手がそれぞれアレンジした部分もあり、学年が進むにつれて、分からないところは積極的に教えてもらいにいくようになる。指導者が仕事で来られないときは、子供同士で教え合いながら練習している。

このようにして、藍島の文化を引き継いでいこうとする責任感と、ふるさと藍島を大切にしていこうという心が育っている。

■旗柱

福岡県の指定史跡にもなっている旗柱は、藍島近海で密貿易船を発見した際、大きな旗を立てて、藩の番所に知らせていたものである。この旗柱に約3メートル四方の大旗を立てる活動を行っている。

地域の方に、事前に旗柱の周りの草刈りをしていただき、保護者にも午前9時から準備を進めてもらう。全長15メートルはある旗を揚げるための柱を、子供と大人が協力して運ぶのだが、島の細くて急な曲がり角のある道を通って、旗柱まで運ぶだけで大変な苦労をする。

柱を立てるため、10人以上の大人がロープを引き柱を立てた後、子供たちがロープを引っ張って旗を引き上げる。大旗が風にたなびく姿を見て、子供たちは藍島が歴史上重要な場所であったことを実感する。そして6年生が、下級生や保護者に向けて、旗柱について調べたことを発表する。

■スナメリウォッチング

スナメリはイルカの仲間で、藍島小学校のシンボルにもなっている。福岡市にある水族館「海の中道海浜公園マリンワールド」から専門家を講師に招き、漁師をしている保護者に漁船を出してもらう。

海の上から、スナメリなどの海の生き物や水質の調査を行うのだ。この学習をきっかけに、子供たちは「藍島の海をもっときれいにしたい」「藍島には他にも珍しい生き物がいないだろうか」「僕たちも自分たちで魚を育ててみたい」といった、自然環境を大切にしたい気持ちがふくらみ、さらなる学習活動へと広がっている。

■ふるさと藍島を通じた主体的・対話的で深い学び

どの学習も、藍島の文化や伝統、自然環境を大切にする「ふるさと藍島を愛し」という学校教育目標が中心にある。子供たちはこれらの活動をきっかけとして、「僕は……したい」「私だったら……する」という、主体的な態度が育っている。ふるさと藍島の伝統や自然環境を種として、そこから芽生えた主体性を大切にしながら、学習を展開している。子供たちは、大人たちの姿から学び、分からないことを直接聞いたり、調べたりしながら、学びを深めている。

また、他の子供たちと学んだことの教え合いを通じて、伝統をつないでいるともいえる。ふるさと藍島を愛することを基盤とした取り組みは、ESDが目指すものとも合致する。さらに、子供たちの学びは、地域との関わりの中で、ふるさと藍島をより良くしたいという思いと合わせて、子供たちを深い学びへと向かわせている。

新学習指導要領の実施が目前に迫る中、「主体的・対話的で深い学び」について、私たち自身がより深く学び、考えていく必要がある。

今後も、私自身が大好きな藍島、そして藍島の子供たちのために、教育活動を進めていきたいと思う。