カリキュラム・マネジメント 組織的・効率的にPDCAサイクル推進

〈特集 新学習指導要領移行措置2018(5)〉
高知県本山町立嶺北中学校校長 大谷 俊彦

■学校教育目標を定期的に評価・見直し
カリキュラム・マネジメントを学校経営に反映させるポイント
カリキュラム・マネジメントを学校経営に反映させるポイント

高知県本山町立嶺北中学校では、2015年度から3年間、高知県教委から「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業」の研究指定を受け、新しい学習指導要領を見据えた先行研究に取り組んできた。この間、中教審からは、「育成を目指す資質・能力」「アクティブ・ラーニング」「カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び」「社会に開かれた教育課程」「チームとしての学校」など、次々とキーワードが示されてきた。

「カリキュラム・マネジメント」について、この分野で先行研究してきた田村知子岐阜大学大学院准教授は、「学校の教育目標をより良く達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、組織的かつ発展的な、課題解決の営み」と定義している(※)。

さらに、中教審では、「学校教育目標の実現に向けて、(1)教科横断的な視点(2)PDCAサイクルの活用(3)人的・物的資源の活用」という3つの側面が示された。つまり「カリキュラム・マネジメント」の中心には、絶えず「学校教育目標」があり、この目標が有名無実化していないか、お題目で終わっていないか、定期的に評価・見直しが行われているか、ということが「カリキュラム・マネジメント」を実践する上で、最も大切といえる。

学校には、学級目標、生徒会目標、道徳教育目標など、数多くの目標が存在している。さまざまな場で、教職員と生徒が「ベクトルを合わせる」ことが大切といわれるが、果たしてこうした目標は、学校教育目標の下位目標となっていて、同じベクトルを向いているのだろうか。そこで本校では、学校教育目標を意識した学級経営案の作成、振り返りと同時に次の目標を立てるといった「CAP―D」システムの構築などに着手することとした。

■「学力」と「表現力」の2点を重点に

本校では、学校教育目標に「社会人基礎力の育成」を掲げ、研究主題を「基礎学力の定着と表現力の育成―キャリア教育の視点に立った探究的な授業の創造」とし、「学力」と「表現力」の2点に重点を絞り、「一点突破型」で、組織的・効率的にPDCAサイクルを回すことに努めてきた。

学力向上の方策としては、「アクティブ・ラーニング」の視点に立ち、「教え」から「学び」へと授業改善を図るために、「嶺北スタンダード」や「嶺中八策」の策定、「授業アンケート」による教員の意識改革、「Smile手帳」による生徒の家庭学習の充実に取り組んでいる。また、「探究的な学びの構想を可視化する授業プラン」という本校独自の学習指導案形式を考案し、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の実現に向けて授業の質的改善を図っている。

表現力育成の方策としては、「探究的な授業」の創造に視点を当て、「地域探究」と「キャリア教育」を融合した発展的・系統的な学習「さくらプロジェクト」を立ち上げ、その中核としての総合的な学習の時間の再構築に取り組んだ。また、「(1)課題の設定→(2)情報の収集→(3)整理・分析→(4)まとめ・表現」という探究サイクルを回すために、「探究イメージ図」の作成にも取り組んだ。さらに、学校生活全般では、知のツールBOX「MIRAIノート」を活用し、生徒の表現力のさらなる育成を目指している。

また、「育成を目指す資質・能力」については、学校教育目標である「社会人基礎力」として必要な資質・能力として「嶺北ACT(アクト)」を作成し、生徒・教職員で共通理解を図り、「何ができるようになったか」「どんな力が付いたか」といった視点で評価・改善に努めている。

■点検・改善の視点で「学力」「表現力」向上に成果

さらに、「社会に開かれた教育課程」については、学校教育を学校内に閉じ込めず、社会と共有・連携するために、パンフレットやホームページ、ツイッターによる情報発信、「プロフェッショナル講座」といった専門家の活用、「さくらプロジェクト」による学習成果の公開など、常に地域や社会を意識した教育課程の編成・実施を心掛けている。

新しい学習指導要領を具現化するために、教育内容をどう整理し、再構築していくかということが、今、学校に求められている。今こそ、「チーム学校」として、目標達成に向けて教職員が一丸となる必要がある。

これまで、「やりっぱなし」(PDPDまたはPDDD)だった活動を、「点検・改善」(CA)というカリキュラム・マネジメントの視点を加え、PDCAを回してきたことで、本校生徒の「学力」と「表現力」は着実に向上している。「学びに向かう生徒」の姿、「『教え』から『学び』へ」と変容する教員の姿が見えてきた。

(※)『実践・カリキュラムマネジメント』(田村知子・編著、ぎょうせい、2011)