特別の教科 道徳 「考え、議論する」の実現に向けて

〈特集 新学習指導要領移行措置2018(4)〉
n3移行措置特集4・島畿央大学大学院教育学研究科教授 島 恒生

いよいよ小学校で「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)がスタートする。中学校も、あと1年。分かり切ったことを言わせたり書かせたりする授業や登場人物の心情理解のみに偏る授業から、いかに脱するかが課題である。そのためのポイントを述べたい。

■授業づくり―自立・協働の力を育てる

まず、道徳科は、「道徳性を養う」時間であることを忘れてはならない。道徳性は、日常生活や今後出会うであろう、さまざまな場面や状況において、適切な行為を主体的に選択し、実践できる「内面的資質」である。行いや行動そのものではない。それを支える見方や感じ方、考え方であり、これを広げ、深めることで、主体的に判断し行動する「自立」を目指すのである。

「学習者は子供」も再確認しよう。教員がひたすらしゃべる伝達型の授業から、子供たちが「考え、議論する」授業を目指したい。教員からの問いに子供たちが単発で答える授業ではなく、子供たちが頭の中をフル回転させ、友達と考え合い、自らを問い、深い納得と発見の生まれる授業である。そのためには、「問い」を子供の頭の中に立たせること、言語活動を活性化させること、協働的な学びを作ることが大切である。思わず考えたくなる質の高い「問い」や友達の考えに関心を寄せる集団づくりが求められる。この努力が、「必然性のある授業」を生み出し、子供たちに自立・協働の力を育てる。

■指導と評価の一体化―教員も共に考え合う

道徳科の評価は、成績を付けるものではない。一人一人の子供の学習状況や道徳性の成長をワクワクしながら見つけるアプリシエーション(真価を認め、励ます評価)である。その評価は、まず、授業展開の中で生かされる。「○○さんの考えを、みんなで考えてみよう」などと。そして、その積み重ねが、指導要録や通知表に表される。さらにアプリシエーションは、評価者の側にも学びや成長がある。子供の考えに「なるほど!」と感じることは多い。道徳科は、教師も共に考え合う姿勢で臨むことが肝要である。

■校内体制の充実―チームみんなで取り組む

教員の側にも、自立・協働が求められる。子供や学校のよさを生かし、チームみんなで取り組みたい。その際、プラス志向の計画づくりや取り組みを意識したい。道徳は圧倒的にマイナス志向で、「できないから取り組む」になりがちである。それでは、伝達型の教え込みになる。子供たちの力を信じ、よさをもっと伸ばす発想で、自立・協働型の道徳科をスタートさせたい。