学校の働き方改革 自校の強みを生かした変化で

〈特集 学校の働き方改革2018(5)〉
n4働き方特集4 学校の働き方改革・住田横浜市立永田台小学校長 住田 昌治

■最高のパフォーマンスのために

今何より重要なのは、学校の働き方の見直しである。今こそ学校は、夢や希望を語れる元気で幸せな場所とならなければ、持続可能な未来を創ることはできない。

2017年は、学校の働き方に注目が集まり、学校における働き方改革の検討が進められた。中教審の学校における働き方改革特別部会からは、8月に緊急提言、年末には「新しい時代に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」が出された。18年は、それを受けつつ改革が加速し、各学校と各教育委員会で細部にわたり検討していくことになるだろう。

そこでは、細かい具体的なやり方のみに関心を示すのではなく、基本的なビジョンについて共有することが肝心だ。そのビジョンとは何だろうか。そもそも何のための働き方改革なのだろうか。

「不眠不休、寝食を忘れて働くのが美徳、長時間労働は当たり前」とする働き方から、「寝食を忘れず、自分で1日の生活をマネジメントする」働き方へと変革することだ。それでこそ教職員が心身の健康および関係性の基盤を安定させ、仕事にやりがいを感じ、学校で最高のパフォーマンスを発揮し、質の高い教育ができる。学校における働き方があまりにも過大になっていて、すでに限界がきていることは多くの有識者が示している。文科省、教育委員会、学校が共に軽減に向けた工夫を図るべきときである。もちろん、教職員定数の改善が最良の手立てだろうが、中間まとめでは踏み込んだ言及はない。今後の議論に期待したい。

寝食を忘れた教員が疲弊して一番迷惑を被るのは子供たちだ。考えればごく当然のことなのに、ないがしろにされがちな「働き方改革」のための視点だ。教育とは、子供たちの未来のために行われるのである。その教育を担う教職員が元気で幸せでなければいい教育はできない。

■とらわれない・おそれない・あきらめない

しかし、「そうは言っても、何を見直すかが分からない」「目の前の仕事が終わらない」「日々新たな対応に追われる」「新しい働き方にチャレンジしたくても、現状の仕組みでは到底無理」「働き方改革なんかやったって持ち帰り仕事が増えるだけ」……こんな声が聞こえてくる。

「増やした分、何かを削る」、つまり、スクラップ&ビルドの発想がなく、旧態依然としたやり方を変えようとしない前例踏襲が学校文化の特徴だ。私たちは、慣れた仕事だと、ほぼ無意識に「いつも通り」のやり方とペースを繰り返す。「本当にこの仕事は必要だろうか」「もっと他にやり方はないのだろうか」と改めて自らに問い直して、仕事にも思い切った改善が必要だ。1回経験してしまえば、今まで通りという慣習にとらわれず、「やってもいいんだ」「変えてもいいんだ」という意識に変わり、「変えることができた」という自己肯定感・自己有用感も高まる。

キーワードは「とらわれない・おそれない・あきらめない」――。ちょっと隙間もできて、新たなものを受け入れることもできる。学校は、ずいぶん楽になる。子供たちの前にも元気で自信を持って立てるようになる。効率の悪い、ダラダラ残業を繰り返す悪循環から抜け出せる。

■働き方について話し合おう

さて、18年、私たちは働き方改革をどのように捉え、準備しておくとよいのだろうか。

「学校の仕事のやり方改善(働き方変革)=内からの風」と「文科省や教育委員会の働き方改革=外からの風」を並行して行うことによって、この改革は成功すると思う。  学校において準備しておくことには、以下のものがある。

▽望ましい1日のデザインの考え方やアイデアの共有(仕事・休息・自分の時間のバランス)▽経験の少ない人でも業務改善の考え方や方法を活用するための研修(授業改善含む)▽教育の質を高めるための外部との連携と教育活動の統合(地域行事と教育課程の統合等)。

何よりも教職員が働き方について話し合う時間を作ることだ。1日5分でもいい。同時に、施策の意味や目的を学校現場が理解し自発的に実行するよう、教職員の意識変革を進めたい。ここでは校長のサーバントリーダーシップを発揮した学校マネジメントが欠かせない。丁寧に情報提供しながら、トップダウンではなくボトムアップでアイデアを募りながら合意形成を図りたい。これにより、その場限りだった仕事のやり方から、新たなシステムによる働き方体系にシフトする。

17年までは、働き方改革に取り組んでいる学校は、少し進んでいる学校だったかもしれない。18年になると働き方改革に取り組むことは当たり前で、他校にはない自校の強みを分析し、その強みをより生かせる働き方の実現に向けて、どのような変化を起こしたかが注目されるだろう。20年のオリンピック・パラリンピックに向けて、多様性という言葉にも注目が集まる。多様な働き方を認め合うためにどのような「チーム学校」を作り、変化を起こしていくのか、働き方について話し合う場や時間をしっかり確保してほしい。学年内で働き方に関する対話の時間、時間外勤務を減らすためのアイデアを出し合う時間、外部からの参加もできる働き方オープンワークショップ、一日のワークライフマネジメントをするワークショップなど、短時間でも取り組みの第一歩となる。

最近、教員や管理職への志願者が減ってきていると聞く。本来、学校は魅力ある場所であり、教職員はやりがいのある楽しい仕事であるという認識を広げていかなければならない。なぜならば、持続可能な社会の実現は教育に委ねられているからである。