考え、議論する中学校道徳に向け 早稲田大でセミナー

「道徳の評価はアプリシエーションで」と話す島教授
「道徳の評価はアプリシエーションで」と話す島教授

早稲田大学道徳教育研究会は1月21日、「中学校道徳教育セミナー」を東京都新宿区の同学で開催した。「『考え、議論する道徳』の授業と評価」をテーマに、実践発表や講演などが行われた。約60人の中学校教員が参加し、グループワークを通じて、教科化に向けた課題や授業イメージなどを話し合った。

実践発表を行った東京都品川区立荏原第五中学校の戸上琢也教諭は「他者との議論を通して内省し、自分なりの納得解を得られるようにする。そのためには、提示する課題や発問の工夫が非常に重要になる」と話し、道徳で問題解決的な学習を行う際には、学習活動の中に「再考」を組み込む必要があると強調した。

同教諭は議論を促すために、生徒に自分の考えや他者への共感・質問などを付箋紙に書き込ませ、それをワークシートに貼り付けて、多様な見方や考え方を可視化できるようにしているという。

筑波大学附属中学校の多田義男教諭は、教材に4コマ漫画を使った授業実践を発表した。多田教諭は「長い読み物教材と比べ、話し合わせたいことに焦点化させて授業をでき、主題について考える時間が増えた。『特別の教科 道徳』でも、教科書を使いながらも教員が多様な教材を用意し、授業で使う場面があるのではないか」と話した。

島恒生畿央大学教授は講演で、道徳の授業の構造を、海に浮かぶ氷山にたとえて解説した。「これまでの道徳は行動レベルの指導で、分かりきったことを言わせたり、書かせたりするだけだった。これでは、他律にとどまり自律にはつながらない。道徳の評価は到達目標ではなく方向目標。教師には、生徒と対等な立場で向き合い、共に考える視点が大事になる」と指摘した。また、「道徳の評価はアプリシエーション(appreciation=真価を認め、励ます評価)だ。わくわくしながら生徒のよさを見つける。幼稚園教諭はこれを日常的に行っている。生徒がいかに成長したかを積極的に受け止め、認め、励ますものだ」とも説明した。

グループワークでは、「道徳ノートやポートフォリオ、ワークシートなどをどう評価に結び付けるか」「記述式の評価に保護者も納得するように、学校としての方針や基準が必要」「担任以外の教員も道徳の授業を受け持つローテーションが有効」「学年の打ち合わせでも、定期的に道徳について話し合う機会を設けたい」といった声が上がった。

同研究会は同大大学院生による自主的な勉強会で、メンバー同士の模擬授業などを通じて、道徳の実践力を高める活動を行っている。同研究会代表で、同大大学院2年生の保坂真子さんは「年間35時間の道徳の授業をどうやっていくか、校長や教員の課題が見えた。教科化に向けて、多忙化や若手教員のフォローなども考えていく必要があると感じた」と話した。

【訂正】記事中の「東京都品川区立江原第五中学校」とあるのは「東京都品川区立荏原第五中学校」でした。(2018.1.23)

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