貧困でも好成績の生徒の割合 フィンランドなどで悪化

OECDは1月29日、PISAの結果などから、社会的、経済的に恵まれない環境にある生徒でも好成績を出せた学校や国の要因を分析した、ワーキングペーパーを公表した。恵まれない環境(貧困層)にある生徒のうち、好成績を上げる生徒の割合をみると、ドイツや日本など、改善傾向を示す国がある一方で、フィンランドなどでは悪化していた。

最新の2015年PISAの結果では、OECD諸国平均で各国の最貧困層世帯出身生徒の3人に1人は、読解力、数学、科学の3分野の基礎的能力であるレベル2にようやく到達できる程度の学力しかない状況が明らかとなっている。

06年から15年にかけてのPISA調査を比較したところ、社会的、経済的環境が下位4分の1にあり、成績がレベル3を上回る生徒の割合を高められる国があるのが分かった。比較可能な51カ国のうち、そのような回復力が大きく認められたのは、▽ドイツ▽イスラエル▽日本▽ノルウェー▽ポーランド▽ポルトガル▽スロベニア▽スペイン――だった。

ドイツでは、社会的経済的に恵まれない環境にある生徒の3分野の成績で、全てにおいてレベル3以上だった割合は、▽06年 25.2%▽09年 24.5%▽12年 31.7%▽15年 32.3%――で、06年と15年を比べて7.1ポイント増加。日本では、▽06年 33.9%▽09年 43.5%▽12年 50.0%▽15年 40.4%――で6.5ポイント増となり、改善傾向がみられた。

その一方で、▽オーストラリア▽フィンランド▽ハンガリー▽ニュージーランド▽韓国▽ノルウェー――では、この割合に減少傾向がみられた。

特に、韓国では▽06年 52.7%▽09年 51.3%▽12年 54.9%▽15年 36.7%――と、06年と15年を比べると13.6ポイントの減少、ニュージーランドでは▽06年 37.9%▽09年 34.2%▽12年 23.6%▽15年 25.1%――で12.8ポイント減、フィンランドでは、▽06年 55.8%▽09年 51.9%▽12年 43.4%▽15年 39.1%――で16.7ポイントの減少がみられるなど、悪化が顕著だった。

こうした恵まれない環境の生徒が学業成績で好成績を収める要因には、生徒が通う学校の質が影響しているのも分かった。恵まれない生徒が成功できる学校環境に共通する特徴として、▽生徒が学習環境が整っていると感じている学校の方が、整っていない学校よりも高くなる▽生徒が集中でき、適切な指導を教師が行っている、秩序ある学級に所属している▽教師の交代が少ない▽校長が学校の戦略的目標を追求するよう、教師に動機付けを行っている――などを挙げた。