日本の新生児死亡率は世界最低 ユニセフが実態報告

新生児死亡率の低い国(左)と高い国(右)
新生児死亡率の低い国(右)と高い国(左)

ユニセフ(国連児童基金)は2月20日、世界各国の新生児の死亡に関する報告書『Every Child ALIVE』を発表した。日本で生まれた新生児の死亡率は最も低く、最も高いパキスタンや中央アフリカとは約50倍もの差があった。貧困や紛争、医療制度などの違いによって、「命の格差」が生じている実態が報告された。

出生千人あたりの新生児死亡率が最も低いのは①日本 0.9%②アイスランド 1.0%③シンガポール 1.1%――だった。それに対し、死亡する割合が最も高いのは、①パキスタン 45.6%②中央アフリカ 42.3%③アフガニスタン 40.0%――だった。

死亡原因の8割以上は、早産や出生時の合併症によるもの、肺尖(はいせん)や敗血症の感染症などが占める。これらは、清潔な環境や十分な栄養、出生後すぐに母親と触れ合い、授乳させるなどすれば解決でき、専門的な知識と技術を持った保健師や助産師がいれば予防可能なものだという。

こうした専門スタッフの人口1万人あたりの割合をみると、新生児死亡率が低い日本では2012年時点で1万人あたり131人だが、14年時点のパキスタンでは14人に過ぎない。さらに、ソマリアではたった1人だった。このように、新生児の死亡率が高い国々では、衛生面や栄養面だけでなく、こうしたサポート人材の不足も深刻になっている。

ユニセフでは今月から「Every Child ALIVE」と呼ばれる国際的なキャンペーンを開始し、各国政府などに対して、▽妊産婦ケアや新生児ケアの経験を持つ医師、看護師、助産師の確保▽母子が清潔な保健施設でケアを受けられるような環境整備▽全ての母子に、必要な医薬品と資材を提供する▽青年期の女子や母親、その家族が質の高いケアを受けられるような啓発を行う――などの対策を行うよう、緊急要請した。

日本ユニセフ協会理事の別所文雄日本医療科学大学教授は「日本は数十年をかけて、『赤ちゃんの命を守るために必要な要件』を整えてきたが、世界での新生児死亡率の差は、世界での格差の表れであることを考えると、日本社会の格差拡大の中にあって、この高い水準を維持するためには、さまざまな面からの対策が求められるように思われる」と懸念を表した。

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