ICTで小規模校が遠隔合同授業 文科省が実証事業報告会

実証地域によるポスターセッション
実証地域によるポスターセッション

文科省は3月5日、「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」の成果報告会を、同省内で開催した。テレビ会議システムなどを活用した遠隔合同授業の実施によって、小規模校が抱える人間関係の固定化や協働学習の実現の難しさなどの課題を改善した、実証地域の取り組みが報告された。

教員や教育行政関係者ら約200人が参加。ポスターセッションやパネルディスカッションも行われた。

長野県喬木村は、同村立第一小学校と第二小学校をつなげた遠隔合同授業に取り組んだ。全校児童48人の第二小に、遠隔システムを設置した「アクティブラーニングルーム」を作り、第一小との遠隔合同授業を行った。

遠隔合同授業のティーム・ティーチングでは、マイクやカメラの位置を工夫して、T1がモニター越しでも相手と目線が合うように調整したり、T2は挙手していなくても、いい気付きやつぶやきをしている児童を見つけ、T1に伝えたりする工夫をしているという。

半数以上の学級が複式という鹿児島県徳之島町では、町内の小規模小学校3校を結び、複式学級を双方向で実施した。複式学級同士で、一方の学年の授業を一方の学校の教員が、もう一方の学年の授業をもう一方の学校の教員が分担して教える。教員と児童が直接対面する機会が増え、時間的なゆとりが生まれたため、個別指導や主体的・対話的な学習の充実につながった。

また、3校合同での教員研修会を頻繁に行ったことで、複式双方向型の指導モデルの確立や学習規律の統一・定着化も図られ、教員の指導力向上にもなった。

愛媛県西条市教委では、2枚の大型スクリーンにつないだ先の学校の教室を写し出し、「臨場感」のある環境を実現。児童の学習規律やコミュニケーションスキル、表現力などが向上した。特に中1ギャップの発生率は、これまでおよそ45%と非常に高かったが、遠隔授業の導入後、6.3%にまで大幅に減少した。また、遠隔合同授業では、T2が積極的に授業の揺さぶりや切り返しを行ったり、自己紹介カードを利用して、児童同士で相互指名したりする活動が有効であるとした。

同省は、同事業の3年間の成果を踏まえた遠隔学習導入のガイドブックを近くまとめる。