英文の聞き取りに男女差が 中学生の脳活動の研究で明らかに

英文を聞き取っているときの脳活動の男女差
英文を聞き取っているときの脳活動の男女差

首都大学東京の教授で組織する研究グループは3月9日、英語を外国語(第二言語)として学習している中学生を対象にした調査結果を公表、英文を処理する際の脳活動に男女で顕著な差があり、英文を聞き取る方略に違いがある可能性を発見したと発表した。学校での英語の習得において、性差を考慮した効果的な教授法や、脳科学研究の根拠に基づく英語学習法の開発に向けた基礎資料になると期待される。

研究グループの主要メンバーは、同学の杉浦理砂特任准教授、秦政寛客員研究員、保前文高准教授など。同研究は国際科学誌『Frontiers in Human Neuroscience』(オンライン版)で公開された。

研究では、中学1年生から3年生の合計53人を対象に、英文を聞き取る際の脳活動の計測と、行動指標を調査した。計測では、音声による英語の正しい文と間違いを含めた文をそれぞれ聞き取った。行動指標の調査では、英語テスト(総合的能力を測るテストと文法テスト)を実施。それに加え、文の中から単語を覚える課題に取り組ませ、言語に関して、短期的に情報を記憶しながら、記憶した内容を更新・操作・分析する能力(ワーキングメモリ)の容量も調べた。

行動指標からは、▽両テストの平均点は、男子に比べて、女子が有意に高い▽ワーキングメモリ容量も男子より女子の方がスコアの平均値が高く、有意な差がある▽男子では、文法テストの点数とワーキングメモリ容量との間に関連性がなかったが、女子は、文法テストの点数とワーキングメモリ容量との間に正の相関がある――など、総合的能力を測るテストと文法テストの成績に男女差が見られた。

脳活動の計測からは、習熟度が上がるとともに、顕著な性差が見られた。正しい文の場合では、男子は、文法処理に関わるとされる左半球前部の言語関連領域(ブローカ野近傍)の活動が増加し、女子では、音韻、意味、文全体の処理に関与する左半球後部の聴覚性言語領域(ウェルニッケ野近傍)の活動が増加した。間違いを含む文の場合では、男子は、脳の活動を全体的に低下させた一方、女子は、正しい文の場合と同様に、音韻・意味・文全体の処理に関わる場所の活動が増加した。また、男子では、間違いを含んだ文の句(名詞句)が提示された直後に大きな振幅が認められ、脳内で文法の処理をしているのが示唆された。

これらの結果から、文法テストの成績は平均的に女子の方が高かったものの、脳では男子の方が女子よりも早く文法規則に沿った構文処理を行っているのが明らかとなった。これに対し、女子は、さまざまな情報から得られる言語知識を統合して、ワーキングメモリの機能も活用した処理をしているのが示唆された。さらに、男子は、間違いを含めた文を聞いたときには、脳の活動を減らして、負荷の掛からない効率的な処理をしている傾向も認められた。