ICT活用の道徳授業で協議が深化 千葉大附小が実践研究を公開

授業では意見分析ツールで瞬時に意見を分類
授業では意見分析ツールで瞬時に意見を分類

iPadを用いて発表された児童の意見や立場は、リアルタイムでプロジェクターを通してグラフィック化され、多数派や少数派が一目で判明――。千葉大学教育学部附属小学校は3月12日、「考え、議論する道徳」の実現を視野に入れたICTを生かした道徳教育の研究実践を公開した。動画教材と意見分析ツールを効果的に使用し、考え、議論する道徳授業を実践していた。

同校では、これまで大学、企業との連携により道徳教材を開発、「ボクたちの出来事」という動画教材と意見分析ツール「AIAIモンキー」などである。

その教材を使った道徳の授業を公開した。授業は、5年1組で実施。児童が協議を深め、あらゆる人々が共生するソーシャル・インクルージョンへの考えを深めるのが授業の狙いだ。

指導にあたったのは同校の道徳推進教師の八木橋朋子教諭。授業の流れを紹介すると、まず児童に社会を構成する人々への質問を投げ掛けながら、体に障害を持つ人への存在を意識させた。その上で、障害者が社会生活で抱える悩みの一つを動画で示す。

動画では、あるお店が車いす優先のエレベーターを設けながらも、来客者の利用方法の問題で、障害者が利用を長時間待たされている課題がある点を明らかにする。

この問題の解決策を、客、店、障害者本人のどこが重点的に担うべきかを児童に考察させた。解決への意見は、個々のタブレット端末に記入。それを意見分析ツールが共通キーワードごとに瞬時に分類し、グラフィック化して一覧表示する。多数派、少数派などが一目で分かるという仕組みだ。

八木橋教諭は、児童に共通キーワードごとに選別された意見の詳細や真意を問い掛けた。

「店側でルールを作ったり、担当者をつけたりなどの改良が必要」「お店は優先エレベーターをきちんと作っている。客が配慮をするべき」などの意見が児童から出る。「『配慮』とは、何に対する配慮か」などの問い掛けを追加するなどして、共生社会に向けた多様な人々へのまなざしを深めた。

授業全体として、同ツールの意見の集約と分類が素早く行える機能により、児童同士がしっかり熟議する機会が生まれたり、分かりやすい分類によって、多様な意見の比較や吟味、思考の掘り下げが促進されたり、などの成果が示されていた。