移民の生徒の約半数 基礎レベルに達せず

OECDは3月19日、『移民家庭出身の生徒の立ち直る力:幸福を形成する要素(Resilience of Students with an Immigrant Background: Factors that Shape Well-Being)』と題する報告書を発表した。移民の生徒の学力問題や、居住する国の言語習得などについて、教員や教育行政機関の有効な支援策などを分析している。報告書によれば、生徒本人も両親も外国生まれという移民の生徒で、読解力、数学、科学の学業成績が基礎レベルに達していないのはOECD諸国平均で約半数に上った。

学業成績が低い移民家庭出身の生徒の割合が特に高かったのは、▽オーストリア▽ベルギー▽デンマーク▽フィンランド▽ドイツ▽ルクセンブルク▽スロベニア▽スウェーデン▽スイス――で、これらの国では、基礎レベルの学業成績に達していない移民の生徒数は、そうでない生徒の2倍以上だった。

移民家庭出身の生徒同士でも、PISA調査の結果で比べると、移住先の国の言語を話せない移民の生徒の方が、その言語を話せる現居住国生まれの移民の生徒よりも、好成績を上げる可能性が低い傾向にあった。

移民の生徒は、学校への帰属意識や生活満足度が低く、学業に関する不安も多く抱えていた。また、授業環境が悪く不登校の割合が高い学校に通う傾向が強く、いじめにあったり、教員から不当な扱いを受けたりする可能性も高くなっていた。その一方で、多くの生徒が、「自分の教師が追加的な支援をしてくれる」と答えていた。

報告書では「教員は多文化化が進む学級を運営し、いじめ問題に対処し、移民の生徒の親と協働できるよう、より多くの支援と訓練の機会を提供されるべき」であるとしている。

また、外国生まれの生徒を支援するためには、言語をはじめとするさまざまな技能を早期に評価する制度の導入が不可欠であるとし、移民家庭出身の生徒に言語訓練を提供する必要性を指摘。言語能力の測定は、教員が個々の生徒のニーズを得られるだけでなく、地域の教育行政機関も、支援が必要な学校の把握に役立つとしている。