通学希望するも妊娠理由に退学勧める 2年間で32件

2015年からの2年間で、高校が生徒の妊娠を把握し、生徒や保護者が通学を希望していたにもかかわらず、学校が退学を勧めるなどの事案が、32件確認された。この実態把握を受け、文科省は3月29日、通知「公立の高等学校における妊娠を理由とした退学等に係る実態把握の結果等を踏まえた妊娠した生徒への対応等について」を、各都道府県教委に向けて発出した。

同省では、全国の高校を対象に、妊娠を理由とした退学などに関する実態把握を行った。15年4月~17年3月の2年間に、生徒の妊娠の事実を学校が把握したのは、全日制で1006件、定時制で1092件の計2098件あった。

法的効果を伴う懲戒を行ったのは全日制高校での停学が1件のみで、妊娠を理由に懲戒として退学処分を行った事案は認められなかった。ただし、事実行為としての懲戒では、▽自宅謹慎 2件▽学校内謹慎・別室指導 11件▽説諭 50件▽その他 31件――が確認された。妊娠を理由に学校が何かしらの懲戒を行った生徒は、全日制で7.2%、定時制で2.1%あった。

妊娠後も休学や転学、退学をせずに在籍した生徒について、産前・産後を除く全ての期間在籍した生徒は778件。妊娠や出産を理由とする課程の変更35件、妊娠期や育児期の休学は188件、転学は178件あった。

「自主退学」は674件あり、そのうち、学校が退学を勧めた結果としての退学が32件、本人や保護者の意思での退学が642件だった。学校側が退学を勧めた際、引き続き通学したり、休学や転学を希望したりしていたのは18件、生徒や保護者の意思を確認したところ、今後についての明確な希望がなかったのは14件あった。

学校が退学を勧めた理由では、▽母体の状況や育児を行う上での家庭状況から、学業の継続が難しいと判断 18件▽本人の学業継続が、他の生徒に対する影響が大きいと判断 5件▽学校における支援体制が十分ではなく、本人の安全が確保できないと判断 8件▽その他 1件――あった。

通知では、生徒が妊娠した場合には、関係者間で十分に話し合い、母体の保護を最優先とした上で、教育上必要な配慮を行うよう求めた。生徒が学業継続の意思がある場合は、安易な退学処分や事実上の退学勧告などの対処は行わないという対応が十分考えられるとし、生徒が退学を申し出た場合でも、休学や転学による学業継続や、高卒認定試験、就労などの情報提供を行う必要があるとした。

また、妊娠した生徒が引き続き通学する場合には、養護教諭やスクールカウンセラーによる十分な支援を行い、体育実技などでは、安全確保の観点からリポートの提出や見学で代替するなどの配慮を求めた。