文科省目標が達成されなかった中 際立つ福井の取り組み

福井県教委が中3希望者を対象に開催した英検対策講座
福井県教委が中3希望者を対象に開催した英検対策講座

4月6日に公表された「英語教育実施状況調査」では、「英検3級程度以上」は中学3年で40.7%、高校3年で「英検準2級程度以上」は39.3%に、「英検準1級に相当する資格を取得している教員」の割合は中学校で33.6%、高校で65.4%にとどまった。

2013年6月に閣議決定した「第2期教育振興基本計画」で、文科省は「学習指導要領に基づき達成される英語力の目標」を、「中学校卒業段階:英検3級程度以上、高等学校卒業段階:英検準2級程度~2級程度以上」とし、これを達成した中高生の割合を50%に、また、「英語教員に求められる英語力の目標」を「英検準1級、TOEFL iBT80点、TOEIC730点程度以上」とし、これを達成した英語教員の割合が中学校50%、高等学校75%になることを目指すと発表しているが、いずれも下回った形だ。

これまで同省は教育委員会や学校に対し、「危機感を持って対応すること」と常々伝えていたが、目標に届かないまま、「第2期教育振興基本計画」の期間を終了した。そうした中、福井県は中学・高校の生徒、教員とも、英語力が全国で1位とされた。同調査が始まって以降、4項目全てを独占するのは今回が初めてだ。

福井県教委は同9日、教育新聞の取材に、「県が本腰を入れて英語教育推進に取り組んだ」と語った。20年度から小学校(5~6年生)で英語が教科化されるのを前に、同県では全国に先駆けて今年度から5・6年生で教科化(週2時間)、3・4年生で外国語活動(週1時間)を実施。働き方改革が進められる中、英語の準備などで一層多忙になることについて、先行実施を疑問視する声も現場からは上がっていたことから、県は指導案作成と研修の二本立てで取り組みを進めた。

指導案は同省が作成した教材をベースとしつつ、コミュニケーション体験に一層重点を置いた授業を展開できるようにした。また、本来は秋ごろに行う「東京オリンピック・パラリンピック」の単元を、同県で国体が行われるのに合わせて春先に設定するなど、単元の配列も工夫。指導案作成のために指導主事を増員して全県体制で臨んだ。ALTとの打ち合わせにも活用しやすいよう、日本語版だけでなく、英語版も作成して配布した。

研修では、指導案の活用法に関するものを冬季休業中に県内8会場で開催、392人が受講した。英語力向上研修では、対象とした学級担任らの75%、約1700人が受講。独立行政法人教職員支援機構による「小学校における外国語教育指導者養成研修」も、同県内小学校で今年2月から3月にかけて実施した。

中学校については、小学校での学習に基づいて表現力を一層高められるような副教材を、高校についてはNHKと連携した副教材を作成。また、この春の公立高校入試から、英検の取得級に応じて加点する制度や、中高とも英検やG-TECの受験料を補助する制度を導入した。

さらに県内には、教員らでつくる自主組織「県英語研究会」など、英語教育に関する研究会が複数存在し、現場の教員による創意工夫も見られる。県教委は「中高では生徒も教員も、英語の授業は極力英語で行っている。教員同士が高め合う雰囲気ができている」と語る。

その結果、英検準1級以上など高い資格を持つ教員の割合は、中学校で62.2%(全国平均33.6%)、高校で91.3%(同65.4%)に達した。同県には、他の自治体の教委も視察に訪れているという。

一方で従来型英検は、2020年度に始まる大学入学共通テストの英語で活用される民間試験から外されている。英検協会はウェブサイト上で、「これまでの英検は、これからも大学入試でご活用いただけます。新方式についても、運営方法以外は、これまでの英検と変わりございません」という声明を発表。

英語教育が目標に達していないことが判明した中、従来型英検が大学入学共通テストの活用対象から外されるなど、教員らの間に不安が広がっている。

新しい時代に求められるコミュニケーション能力の育成に向けて、同県のような先進的な取り組みが他県にも求められている。