被災校が新校舎で開校式 宮城・閖上小中学校

小中一貫校として生まれ変わっての開校式
小中一貫校として生まれ変わっての開校式

東日本大震災で被災した宮城県名取市閖上地区で、小中一貫校として同市立閖上(ゆりあげ)小中学校(八森伸校長、児童・生徒139人)が完成し4月7日、開校式が行われた。学校施設を一体的に整備した一貫校の完成は県内初。開校式には約700人が出席する中、山田司郎市長が開校を宣言し、滝沢信雄教育長を介して八森伸校長に校旗を渡した。内陸部の小学校やプレハブ仮設校舎へ通った児童・生徒は同9日、新たな学びやで新学期を迎えた。

旧閖上小・中学校は東日本大震災で被災した。それ以降、小学校は他校の校舎を借りて、中学校は運動公園内の仮設校舎で学習活動を再開。同市教委は、閖上小中学校の開校を目指して2012年10月から準備を進め、「シリーズ閖上小・中学校の開校に向けて」として、サイト上などで校舎づくりの概要や進捗状況、新校舎での教育活動などについて、全35回に渡って伝え続けた。

新校舎は鉄筋4階の校舎と同2階の体育館などから成り、延べ床面積は1万1870平方メートル。海から約2キロの地点にある。約1050人が避難できる広い屋上を備え、校舎外から出入りできる非常階段が2カ所設置されている。通常は校庭などに置かれる備蓄倉庫と、2階などに作られることの多い家庭科室は、最上階である4階に置かれ、屋上に避難した人が使いやすいようにした。プールの水をろ過して飲料水にする設備などもあり、災害時には防災拠点として活躍することが期待される。

「1 魅力ある、特色ある学校づくり」「2 地域と連携し、地域とともに歩む学校づくり」「3 地域の防災拠点としての学校づくり」を考えて設計された。

津波で瓦礫などが流入した教室
津波で瓦礫などが流入した教室

また、地震発生時刻を指したまま動かない閖上中旧校舎外壁の時計や、OBらがメッセージを書いた旧校舎の黒板などを置く郷土資料室、旧閖上小校庭で子供たちが遊んだ漁船形の遊具など、震災の記憶を随所に受け継いでいる。

説明会では参加者から、「地震があったらどのように避難するのか。避難経路はどうなるのか」という質問があった。同市は「東日本大震災の教訓の生かし、独自の防災教育の推進を図る。その1つとして、地震や津波に対応した避難訓練や、地域との合同防災訓練を実施。様々な学習や訓練を通して、地震や津波が発生した際の避難経路、避難場所、避難方法を含めた防災について指導を行う」と回答。

新校舎で学校生活を送る1年生は29人で、生まれたのは震災後。開校式に出席した吉野正芳復興相は「1年生(の多く)は母親のおなかの中にいた。これは大事なことだ」と述べた。