巡回型、小中一貫型など SCの実践活動事例集を公表

文科省は4月9日、全国の都道府県、指定市のスクールカウンセラー(SC)の取り組みに関する実践活動事例集を公表した。各地のSCの配置状況や採用計画、研修体制、SCによる児童生徒の心のケアや、自殺予防などにつながったケースなどを収載している。

岩手県では、東日本大震災による心のケアが必要であるとし、同県沿岸部の学校には、巡回型カウンセラーを13人配置した。教職員との被災体験に関わる校内研修も実施する。

震災後に被災した中学校に赴任した教員からあった、「ふと児童生徒が被災関連の話をした時に、どう対応したら良いか分からない」という声を受け、SCと教育相談担当教員が相談し、教員間で児童生徒の被災体験を語り継ぐ研修プログラムを実施した。参加した教員からは「被災地に着任してきた思い、とまどい、さまざまに抱えている自責の気持ちなどを話すことで、苦しく感じているのは自分だけではないと分かりほっとした」といった意見が出た。

同様に福島県では、被災地域の学校や避難している児童生徒の受け入れ状況を把握しながら、スクールカウンセラーを計画的に配置している。東日本大震災や原発事故によるケアが急増し、SCに準ずる者の比率が増加したのに伴い、経験年数や地域ごとで研修を多数実施し、情報の共有やSCスーパーバイザーによる指導・助言を活発に行っている。

しかし東日本大震災から7年が経ち、さまざまな要因が複雑に絡み合った問題行動や、不登校の増加に歯止めがかからないという。期間や転職、地域の分断などによるストレスを抱えた保護者支援も課題に挙げられた。

横浜市では、小学校で相談したカウンセラーが中学校に進学した後も相談できる「小中一貫型」のカウンセラー配置を行っている。事例集では小中一貫型のカウンセラー配置が機能したケースも記載されている。

自分の思い通りにならないと教室から飛び出したり、大声で泣いたりする小6の男子児童に関わったSCは、情緒障害通級指導教室の担当者に授業参観を通じて実態を把握してもらい、ケース会議を行った。保護者には面談を通じて、ケース会議で出された具体的な支援策などを共有。中学校進学を前に、児童は特別支援教育相談センターで教育相談を受け、中学校では個別支援学級で、自己肯定感を高める支援を行っている。同じカウンセラーが中学校でも関わっているため、本人や保護者の安心感につながっているという。