全国学力調査・3年ぶりの理科 キーワードは「探究」「AL」

小学校理科・「学んだことを基にしたものづくりへの適用」(左)中学校理科・「発熱パックを科学的に探究する」(右)
小学校理科・「学んだことを基にしたものづくりへの適用」(左)中学校理科・「発熱パックを科学的に探究する」(右)

4月17日に行われた2018年度全国学力・学習状況調査では、15年度以来3年ぶりに理科が実施された。

前回に引き続き、「知識」に関する問題と「活用」に関する問題の二つの枠組みを設定。評価の観点を、「知識」については「自然現象についての知識・理解」「観察・実験の技能」、「活用」については「科学的な思考・表現」としている。変更点は「自然現象への関心・意欲・態度」を加えた点。これは、「児童生徒質問紙調査」などで見るとし、項目数を全体では30程度減らす中、「5年生のとき、理科の授業がおもしろいと思った」「5年生のとき、理科の授業を受けた後に、習ったことに関わることで、もっと知りたいことがでてきた」(いずれも小学校)、「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいたと思う」(小・中共通)などの項目を新たに設けている。

新学習指導要領が公示されてから初めての理科、キーワードは「探究」と「AL」の二つ。

まず「探究」について。答申では「探究的な学習の充実を図ることで、理科の面白さを感じたり、理科の有用性を認識したりすることが重要」とし、小学校については「光や電気などを働かせたときの現象を比較しながら調べ(中略)ものづくりをしたりする活動を通して、それらの性質や働きについての見方や考え方を養う」と、新たに「ものづくり」が明記された。これを受けて今回、「午後1時から3時ごろだけプロペラが回るようにするには、箱の中で光電池をどのように置けばよいと考えられますか」という問いを設定。「太陽の1日の位置の変化と、光電池に生じる電流の変化の関係を、ものづくりに適用できるかどうか」を見る。

「光電池の働き」は新学習指導要領では第6学年に置かれたが、現行では4年生の学習内容。「太陽の位置の変化」は3年生。「ものづくり」は先取りでも、現行の学習内容で十分対応することができる。

また、中学校では今回、アルミニウムを含む発熱パックの使い方に関する問いで、化学変化と熱に関する知識・理解を問う問題を踏まえながら、「あなたなら、アルミニウムについてどのような新たな疑問をもちますか」という問いを設定。「探究の過程を振り返り、新たな疑問をもち問題を見いだして、探究を深めようとしているかどうか」を見る。

「アルミニウムは生活のどのような場面で役立てられるか」などといった、社会科での学習内容に近づく回答でも可のように見えるが、問いの冒頭に「アルミニウムは水の温度の変化に関係していることは分かりました」とあり、科学的探究の視点での回答が求められていること分かる。正答の条件は▽アルミニウムに関する記述であること▽温度変化に関する記述であること▽新たな疑問であること▽疑問、もしくは探究の意欲を表現した文章であること。ここでも「自然現象への関心・意欲・態度」を見る。

次に「アクティブ・ラーニング」について。答申で示された「主体的・対話的で深い学び」の視点が各所で活用された問題構成となった。例えば小学校では今回、「電流の向きと大きさ」に関して4人の児童が立てた予想を踏まえ、見通しをもって実験を行い解決の方向性を構想したり、他者の考えを取り入れながらより妥当な考えに改善したりする問題を設定。中学校でも、「ファラデーの『ロウソクの科学』を読んで、科学的に探究しリポートにまとめる」という内容で、答申で「対話的な学び」として示された「先哲の考え方を手掛かりに考えることを通じ、自己の考えを広げ深める」学習を展開するよう設定している。

新学習指導要領実施に向け、各学校が新たな取り組みを進める中、理科の見方・考え方を働かせ、問題を科学的に解決しようとする学習活動の充実のための方向性が示された今回の調査。国立教育政策研究所の担当者は「子供たちに科学的リテラシーをもってほしい、科学に興味をもってほしいというメッセージを発信している。この調査は実態を把握し、課題を浮き彫りにするもの。教育委員会や各学校には、結果の分析と指導の改善に取り組んでいってほしい」と語る。

同調査の問題、正答例、国立教育政策研究所(国研)の解説資料はこちら

〇関連記事:全国学力調査を実施 結果公表は7月下旬に前倒し