教育予算の課題は額より使い道 無償化で財制審が議論

私立高校無償化は公立高校の生徒数減少の要因であると指摘
私立高校無償化は公立高校の生徒数減少の要因であると指摘

財務省の財政制度等審議会は4月17日、財政制度分科会を開催した。幼児教育や私立高校の授業料、大学などの高等教育の無償化が議題に挙げられた。各種データを基に、教育分野における課題は、予算額ではなく使い方にあると指摘し、使い方の改善を図り、教育の質を向上させるべきだとした。

幼児教育の無償化では、預かり保育の条件や、子ども・子育て支援新制度への移行を予定していない私立幼稚園が一定数あるのを踏まえ、▽「保育の必要性」の認定の要件化▽幼稚園の標準時間当たりの公費負担水準が、保育所を大きく上回っている現状を踏まえた給付水準の設定▽認定こども園への移行が進んでいない現状分析▽保育料の引き上げを助長しないようにする必要性――などの課題を挙げた。

年収590万円未満の世帯を対象とした、私立高校の授業料の実質的無償化では、「私立学校の授業料の負担軽減は、15歳以上人口が減少する中、私立高校の生徒数を増加させる一方、公立高校の生徒数を一層減少させる要因になっている」と指摘。特に東京都ではその傾向が顕著であるとした。

その上で、安定的な財源確保と並び、所得の算定方法や資産勘案などを含めた支援対象者の見直しを検討する必要があると指摘。また、公立高校の生徒数の減少などを踏まえ、国・地方の役割分担を考え直す必要があるとした。

大学などの高等教育の経済的な負担軽減策の検討では、大学生の学修時間の短さや成績管理におけるGPA制度の活用度合い、「アニメ、声優、ゲーム」「音楽、演劇、映像、放送」などの専門学校の就職率の低さなどの課題が挙げられた。

また、一部の大学関係者の間で導入を求める声が上がっているオーストラリアのHECS制度(高所得世帯も含めた授業料後払い制度)は、▽高所得世帯に追加的に便益を与えるため、格差がかえって拡大する▽卒業後に返済しきれない部分を誰が負担するのか▽運営上のコスト――などの課題を指摘し、効果を疑問視した。

これらの点を踏まえ、高等教育の経済的な負担軽減策は、真に支援が必要な低所得世帯の若者に絞った対応にすべきであるとし、同時に、第三者のチェックや公表などを通じて、高等教育の質を高めていく改革が必要だとした。