現状は2割に満たず 里親数増加に向け取り組みを調査

福岡市の短期里親を呼び掛けるチラシ
福岡市の短期里親を呼び掛けるチラシ

厚労省はこのほど、児童相談所における里親委託と特別養子縁組の推進状況をまとめた報告書を公表した。保護者の死亡・失踪や虐待などで社会的な養護を必要とする子供のうち、里親・ファミリーホームに委託した割合を示す「里親等委託率」は、2016年度末で18.3%と低水準にとどまっている。より多くの子供に家庭養育環境を提供することを目指し、同報告書には先駆的な実績を上げている愛知県・福岡市・静岡市の取り組み事例の調査結果を掲載している。

愛知県では、愛着関係を育むには、できるだけ早い段階で子供を家庭に迎え入れることが重要と考え、予期しない妊娠などで親が育てられない場合、妊娠中から出産までの期間に里親を決定する「新生児里親委託」に取り組む。この制度を機能させるために、2人の里親委託等推進員が産婦人科病院、市町村保健センター、学校など地域のネットワークづくりを推進、里親制度や新生児里親委託の仕組みを分かりやすく説明したリーフレットの配布や周知に努めている。その結果、同県(名古屋市を除く)では12~16年の5年間で、新生児里親委託による特別養子縁組が62件成立した。

福岡市では、市民のネットワークづくりに実績のあるNPO法人と協働して、里親制度の普及啓発を進める。従来、応募者の相談から里親登録までのプロセス、委託後の支援をそれぞれ別の者が担当していたが、NPO法人の同一担当者が一貫して寄り添う形に改めた。また、大きな写真を使った印象的なチラシやフォーラムの開催案内を活用しながら、乳幼児の短期間の里親委託を「身近に取り組める課題」として市民に提案。市民の関心を広く喚起する取り組みを進めた結果、16年末の登録里親数は163世帯と、10年前の約3倍に上った。

静岡市では、業務全般をNPO法人に委託し、同市と緊密に連携しながら長期的に里親を支援する体制を整えた。担当者が里親家庭を定期的に訪問して相談に乗ったり、里親に養育スキルに関する研修を実施したりしている。加えて、里親サロンなど交流の場を設け、里親同士が子供との関わり方などを話し合い、悩み解決につなげている。同市も全国トップ水準の里親等委託率を達成している。