足立区立中での性教育の授業で 都教委が対応を報告

現場の萎縮への懸念や保護者理解を求める意見が出た
現場の萎縮への懸念や保護者理解を求める意見が出た

避妊や人工妊娠中絶を扱った中学校の性教育授業は不適切か――。東京都足立区立中学校で実施された性教育の授業に対して、都議会で「不適切ではないか」と質問があった件をめぐり、4月26日に開かれた都教委の第8回定例会で、この中学校での性教育への都教委の対応について報告があった。同区教委と性教育の課題について意見交換を行い、認識の共有を図っていくとした。委員からは、学校現場の萎縮を懸念する声や、保護者との連携の必要性を指摘する意見が出た。

同区立中学校で3月5日に、3年生のクラスごとに、「総合的な学習の時間」の中で性教育の授業が行われた。同月16日に開催された第1回都議会定例会文教委員会で、自民党の古河俊昭議員が同授業について、「性教育として不適切ではないか」と問題視し、都教委の認識などを質問した。これに対し都教委は、授業の内容が、避妊や人工妊娠中絶など、学習指導要領上、中学校で指導しない内容を扱い、保護者の理解を必ずしも十分に得られないまま授業が実施されていたと答弁した。

都教委は、性教育に関する基本的な方針として、中学生の心身の発達の個人差などを踏まえ、全ての内容を集団指導で教えるのではなく、内容に応じて個別指導なども行い、事前に保護者に指導内容や方法を十分説明した上で、理解・協力を得る必要があるとした。同区教委とこの基本方針を確認し、学習指導要領を超える内容を扱う場合は、事前に指導案を保護者全員に説明し、理解・了承を得た生徒を対象に、グループや個別で行うなどの具体的な取り組み方法について、認識の共有を図った。

同報告を受け、都教委の北村友人委員は「学校現場は萎縮せず、積極的に取り組んでほしい。さまざまな情報があふれる中で、子供には正しい知識を知り、自己決定する権利がある」と強調した。多様化する社会の中で、保護者の考え方や宗教などに配慮したり、子供の気持ちに寄り添ったりする性教育の在り方を議論していく必要性を指摘した。

また、宮崎緑委員は「性教育は他教科の授業と異なり、横並びでできない面があるが、生徒に正確な情報を伝える必要もある。柔軟な対応が求められる」と述べ、家庭で性についてどのように話し合うかなど、保護者と学校が連携を図っていくべきだとした。

都教委では、都内市区町村教委や都立学校に対し、性教育の基本的な考え方や学習指導要領を超える内容を扱う際の指導上の留意点などを周知するとともに、2004年度に作成した「性教育の手引~中学校編~」を今年度中をめどに改訂する。