ALで何が真に求められているか サミット2日目

ALについて議論したパネルディスカッション
ALについて議論したパネルディスカッション

文科省主催「アクティブ・ラーニング(AL)&カリキュラム・マネジメントサミット2018」の2日目が5月10日、都内で開催された。小・中・高の教員ら約500人が参加。ALやカリキュラム・マネジメントの研究発表、特別講演、パネルディスカッションを行った。

特別講演の講師は国文学研究資料館長のロバート・キャンベル氏。東京大学での17年間の指導経験を基に、「学生たちは聞かれたことに答えることはできるが、聞かれている意味について深く考え、自分の意見を伝えることが苦手。『答えること』が『応えること』にならない」として、学生たちの気付きを育てようと行った試みについて語った。

その一つが、中教審ワーキンググループでも提案した「和歌を英訳した後、再度和訳し直す」という学び。具体例として、歌人の橘曙覧の『独楽吟』から「たのしみは 衾(ふすま)かづきて物がたり いひをるうちに寝入たるとき」を挙げた。

同氏は自ら「It’s delightful when we’re all talking under the covers and I fall off to sleep」と英訳した上で、これを「布団に入ってみんなで話しているうちに、気付いたら眠ってしまうことは、私にとって喜びである」と和訳。その過程で、元の和歌の主語が何なのか、接続詞には何を用いたらよいかなどに思いを巡らせ、日本語の性質を捉え直したり、和歌の情景をより鮮明に頭の中で描き出したりできるとした。

続くパネルディスカッションでの主なトピックは、「さまざまな解釈が可能なALで、何が真に求められているか」。

同氏は「これまでは学びの大部分を知識の習得やその再生が占めていたが、これからは知識を自分のものとしながら自ら問いを見いだし、答えを探究する学びに転換する」と述べた。

それを受け、実用英語推進機構の安河内哲也代表理事は「ALの概念が抽象的であるために、『英文を読み上げていればよい』という誤解も見られる。それでは見た目がアクティブでも、実際はインプットしたものを出しているだけ。ペアワークやグループワークでも、覚えた例文を話すだけではなく、深く考えて発表し合い、子供たちの口と頭が動く授業をして、主体的に学ぶ機会を作る必要がある」とした。

これに加えて教職員支援機構研修協力員の稲岡寛氏が「主体的な学びでは、子供自身が『何ができるようになったか』を自覚することが重要。それを目指してALの視点から授業を磨きつつ、カリキュラム・マネジメントによって教科横断的、汎用的な知識を身につけさせることが重要」と話した。

奈須正裕上智大学教授は「現場の先生方の意識は大きく変容している。これからは、子供や保護者の意識を変える必要がある」とし、「『ジェネリックスキル(汎用的な知識、態度)を身につけさせる』という流れだからこそ、それぞれの教科の本質を捉え直す必要がある。各教科の学びによって、どのような知識・技能が生み出されるかが主軸であることは、今までどおり」と述べ、「こうした議論は、実は昭和40年代に教員の研究会などでさかんに行われていた。この国にはそういう資産がたくさんある」とまとめた。

同教授の言葉を受け、参加者から「ジェネリックスキルの前提として、学習指導要領改訂によって各教科で身につけさせるべき見方・考え方が示されたが、かえって教科の独自性や授業の裁量が制限され、子供たちも窮屈になるように感じる。見方・考え方は今後、どのように捉えていったらよいか」という質問が出された。

同教授は「大くくりで捉えながら柔軟に考え、各学校の実態に応じて自ら打ち出すくらいの強気さがあってよいのではないか。文科省、教育委員会、各学校とでキャッチボールを行いながら、新しい教育課程を作っていけたら」と答えた。