地域に根差す教育の実践例を出版 全連退

出版された『心を育む学校の力』
出版された『心を育む学校の力』

全国連合退職校長会(全連退)がまとめた本『心を育む学校の力 ―学校と家庭・地域の協働を生かして―』(東洋館出版社、2000円+税)が、このほど出版された。互いを認め合う心から相手をいたわる心、自尊心までを子供の発達に応じて育む小・中・高校の実践例が報告されている。特に地域で培った独自の取り組みや、先輩教員らが継承してきた活動が記録されているのが特徴で、教員や保護者らの手引きにもなっている。

『心を育む学校の力』に報告を寄せた校長は、現役と退職者を含め52人。北は北海道の小学校から南は鹿児島県の中学校まで及ぶ。それだけに地域色が強い。

東日本大震災で総戸数の2割以上の家屋が全半壊した福島県鏡石町では当時、町内にある2校の小学校のうち1校が使用不能に。地域が学校をサポートする「学校応援団活動」がすでに始まっていたことから、「仮設校舎ができるまでの間は第二小学校の空き教室や体育館、構造改善センターに分かれて生活することとなったが、町民の協力で乗り越えることができた」と校長はつづる。

学校応援団活動は、児童の登下校支援や入学式などにおける受付、授業参観時の駐車場誘導、保護者会における児童預かり、サッカーや水泳の指導と幅が広い。特にお年寄りの活躍が目立ち、85人の個人登録者のほか、老人会やスポーツクラブなどが参加しているという。

「学校応援団活動は、子供たちにとって地域の大人たちに見守られて育っている実感が得られ、学校や地域でのびのびと安心感をもって自分を磨くことに集中できるよさがある」としている。

熊本地震で避難所となった熊本県大津町の小学校は、震災3年前に新設された中規模校。道徳への関心を保護者に高めてもらおうと、道徳通信「ハートフル」を発行するほか、道徳の授業を公開したり、情報提供をこまめにして地元紙などに取り上げてもらったりしている。熊本地震については「本校の卒業生や上級生たちがボランティアをかって出てくれた」ことを知り、「子供たちの持つ力を強く感じる」と元校長はつづっている。