SNSのいじめを認定 埼玉高2自殺の第三者報告

埼玉県立高校2年の女子生徒(当時16)が2017年4月に自殺しているのが見つかった問題で、第三者調査審議会(会長・佐世芳弁護士)は5月14日、「SNS上でいじめがあった」とする報告書を県に提出した。報告書は高校側が「組織として十分留意した対応をした様子は見られない」と断じ、佐世会長は「ささいなSNSの書き込みが誰かを自殺に追い込むことがある。そういう危険性を秘めた問題であることを認識し、対策を考えなければ、また悲劇は繰り返される」と問題提起した。審議会は17年4月に県教委によって設置され、女子生徒が死亡したいきさつや学校の対応について調査を続けていた。

遺族らによると、女子生徒は非公開アカウントで書き込んだ内容を交際相手やその妹に拡散され、中傷されていた。審議会は、女子生徒が限られた友人のみに向けて書き込んだ私生活の内容を交際相手に公表されたこと、交際相手の妹に「どんな顔をして学校に来るか楽しみだ」といった追い詰めるような書き込みをされたことを報告した。

審議会では「女子生徒がショックを受けるとともに、誰がどのように自分を見ているのか分からないという恐怖を感じたと思われる」と指摘した。学校では優等生として認められ、行事の準備などで周囲に気を配るあまりに無理をし、ストレスをためて落ち込む様子が見られたことや、親しい友人が非公開アカウントのことを交際相手に教えたと誤解していたことを伝え「それまでの明るい人気者とは違うイメージを皆に抱かれたと感じたのでは」と推し量った。

悩みを抱え、転学も考えるようになった女子生徒は17年3月末、保護者と共に担任や学年主任、教頭らと面談。学校がこの件をいじめと認識するか確認したところ、女子生徒はいじめではないと否定した。当時、交際相手の妹が同校に在籍していたことから、交際相手の妹に対する指導をするかどうか尋ねた際にも「トラブルは終わりつつあるので、そっとしてほしい」と述べた。面談後は学校を続けることになり、4月11日に登校。しかしその後、友人に「学校へ行ったら皆の自分を見る目が違っていた」と涙ながらに話したという。翌日からは欠席し、夜もあまり眠れず、食事もきちんと取れない状態になった。4月14日朝、保護者が出かけた後、首をつって命を絶った。

審議会は「いじめ防止対策推進法」(13年9月施行)の定義に従って検証。交際相手の妹の行為で、女子生徒が精神的苦痛を覚えたとし、いじめに当たると判断した。自殺の明確な理由は特定していないが、亡くなる前日、孤立感を抱いていることや、死について考えていることをメモとしてスマートフォンに残していたことなどから、いじめを苦として自殺を考えるに至ったと結論付けた。

学校の対応については、面談時に女子生徒がいじめを否定し「そっとしてほしい」と話したため、「それ以上の対応は難しかった」とした点について、いじめは本人が否定する場合が多々あることを踏まえ、表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認する必要があったと指摘した。

年度替わりで校長および教頭の異動、担任や学年教員の交替があり、情報共有も不十分で、女子生徒を「いずれ転学する予定の生徒」と認識していたことから「新年度唯一登校した日にも、組織として十分留意した対応をした様子は見られない」と判断した。

報告書は「教員と生徒が直接会わない長期の休業中に、このような事案があった際、どうすればよいか検討すべきだ」と対応を求めた。

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