東大で教員の多忙化テーマに議論 学校のブラック化防げの意見も

白熱した議論が交わされた
白熱した議論が交わされた

教員の多忙化をテーマにした「ROJE五月祭教育フォーラム2018」が5月20日、東京大学五月祭で開かれた。本郷キャンパスの会場には800人を超える参加があり、関心の高さをうかがわせた。

教育研究家の妹尾昌俊氏(本紙特任解説委員)は講演で、多忙化の原因について「世間も保護者も政治家も教育行政も、学校に期待し過ぎている」と問題提起した。教員を何でもできる完璧な人間と捉え、限度を超える業務量を課している現状を考え直す必要があると述べた。同時に学校内では必要な業務の選別が行われておらず、上乗せされ続けていると指摘。「『やった方が子供のため』と考えれば仕事は増える一方だ。教育は効率性だけで成り立つものではないが、かける時間や生産性への意識があまりにも低い」と警鐘を鳴らした。

内田良名古屋大学大学院准教授はサステナブル(持続可能)な部活動の在り方について講演。部活動は制度設計のない教育活動であるためにさまざまな矛盾が生じ、事故が発生した際の責任の所在も明らかにされていないと解説。活動時間が著しく増える傾向にあるのは、教員自身が部活動を「楽しい」と感じていることに起因していると述べた。これを変えるには「部活動にも制度設計を設け、決められた枠の中で最善を尽くす形に改めるべきだ」と提言した。

パネルディスカッションでは、講演した両者に加え、教育者の陰山英男氏、文科大臣補佐官である鈴木寛東京大教授兼慶應義塾大教授、主催団体であるNPO法人日本教育再興連盟の横田和也さんがパネリストとして持論を展開し、教員の多忙化を巡る問題を熱く議論した。陰山氏は「校長がいい学校は伸びるし、地域からの信頼も厚く、保護者の協力も得られる。しかし、そうした人材は非常に少ない。うまくいった学校の仕組みが継続される自校昇任を取り入れたり、制度を改革したりしてもいい」と話した。鈴木教授は「教員には『したたかさ』も必要。自分の権利を多くの人の支持を得ながら獲得していけるよう、手練手管を身に付けてほしい。そうしなければ日本の学校はこれからもずっとブラック企業だ」と述べた。