第三者委の報告書を覆し、いじめを認定 東京都葛飾区

東京都葛飾区は6月7日、2014年に自殺した区立中学3年の男子生徒(当時14)への、他の生徒の行為について見解を発表した。いじめ防止対策推進法に定義されたいじめに該当すると結論づけ、「いじめと認められない」とした第三者調査委員会の報告書を覆した。青木克徳区長は自殺との因果関係についても、「影響を与えた可能性は否定できない」と判断した。

区によると、男子生徒は14年4月、顧問不在の部活動中に行われたチーム決めの際、他の生徒たちから窓際に移動させられ、霧吹きで水をかけられたりピンポン球を当てられたりした上に、ズボンを下ろされそうになった。男子生徒は学校を出て自殺したという。

生徒の両親は同年12月、生徒が自殺に至った経緯についての調査が不十分だとして区教委に訴えたが、「いじめを起因とした事案ではない」と回答され、弁護士を通じて再調査を求める文書を提出した。区教委は第三者委を設置し、同委は18年3月、生徒が受けた行為について「部員間で日常許容されていた遊びの手法」で「社会通念上のいじめと認められない」とする報告書を提出した。これに対し遺族は再考を求め、文科省も「行政はいじめ防止法の定義で判断すべきだ」と指摘していた。

6月7日、区長は第三者委の報告書を大幅に見直し、「一連の行為はいじめに該当する」と発表。「法の趣旨に照らして、いじめは幅広く捉えるべきだと考えた」と述べた。自殺との因果関係についても「影響を与えた可能性は否定できない」としている。区が答申を覆したことについて、林芳正文科相は6月8日、定例会見で「区の対応は適切と判断している」と述べた。

区長は「二度とこのようなことが起こらないよう、教育委員会と協議、連携して対策に努める」とコメント。これを受けて塩澤雄一教育長は「教育委員会としていじめと判断していなかった期間があり、認識不足について十分に反省している」とした上で、「いじめ防止に向け、常に学校と教育委員会とが情報を共有し、小さな兆候であってもいじめではないかとの疑いを持って積極的に認知することが重要」と述べた。

区の見解を受けて、自殺した男子生徒の両親は「一連の行為がいじめに該当すると判断した点については、正しい判断をしていただけたものと受け止めている。しかし、一連の行為の自殺への影響について『可能性も否定できない』という、あいまいな表現がなされ、影響があったと明確に判断していただけなかった点は大変残念。遺族としては、改めて一連の行為は自殺に大きく影響したものと考えている」とのコメントを発表した。