炎上をカードゲームで疑似体験 議論する道徳に向け

大炎笑で炎上を疑似体験する生徒

炎上の裏に潜む心理を、実際に体験して考えよう――。埼玉県越谷市立平方中学校(大西久雄校長、生徒330人)でこのほど、炎上を疑似体験できるカードゲーム「大炎笑」を使った道徳の授業が行われた。頭では分かっていても炎上に加担してしまう人間の心理を、生徒らは話し合った。来年度から始まる「考え、議論する道徳」に向け、中学校の現場では教材選定や研修など、さまざまな模索が始まっている。

1年生の1クラスで、1時間の授業として行われた。担任の井上昌也教諭は、実際に起こった炎上事例を電子黒板に提示した後、動画で大炎笑のルールを説明。生徒はグループごとに「井上先生の隠された秘密」というテーマに対して、炎上しそうな内容をワークシートに書き込んだ。その内容に対して「ばーか。」「うざい。」などの炎上コメントが書かれたカードを渡していき、10枚集まったプレーヤーが負けとなる。

ゲームの後、同教諭が「炎上させたくなったか」と聞くと、7割ほどの生徒が手を挙げた。同教諭は勝った生徒に「なぜ炎上させたくなるのか」、負けた生徒に「炎上したときの気持ち」を話し合わせた。

勝った生徒からは「みんなで一人を責めるのがおもしろい」「ストレスを発散させるため」という意見が、負けた生徒からは「ストレスがたまる」「仕返ししたくなる」という意見が出た。

次に同教諭は、「炎上させない心得」を考えさせた。生徒は「自分が嫌だと思うことは送らない」「投稿する前に一度読み返して、送信していいか考える」などを提案した。

さらに同教諭は「でも、みんなそういうことは分かっている。分かっていても実際に炎上が起こってしまうのはなぜか」と問いかけ、考えさせた。生徒らは「その場にいると考えられなくなってしまう」「ネット上で現実の八つ当たりをしたい」「みんながやっていると、つい自分もやってしまう」と議論した。

大西校長は「来年度の道徳の教科化を見据え、考え、議論する道徳を実現するには、生徒にとって身近なものを教材に、どう本音を引き出すかが重要になる」と話した。

同校では今後、大炎笑を使った授業を各学年全クラスで実施し、生徒の話し合いの様子を動画で撮影。道徳の評価方法に関する校内研修に活用する。

大炎笑は博報堂が開発したカードゲームで、YouTube上に詳しいルールを解説した動画が公開されている。