学校の教員採用の自由度が成績に影響 OECD調査が示唆

教員採用の自由度を高めると、貧困や恵まれない地域の教員不足を解消できる――。OECDは6月11日、PISA(生徒の学習到達度調査)に関する新報告書「有効な教員政策―PISAからの知見―」を公表した。2006年と15年にPISAに参加した国を分析すると、学校に教員採用の権限をどの程度与えるかが、生徒の成績に影響している可能性が示唆された。

報告書は、OECDが実施している▽教育システム指標(INES)プログラム▽教授学習国際調査(TALIS)▽国際学生評価プログラム(PISA)――で得られたデータを基に、▽各国の教員採用、職能開発、評価、給与体系▽教員の選別が教育の公平性に与える影響▽有能な人材の確保による質の維持――について調査した。

能力の高い教員がいないと、生徒が恵まれない環境から抜け出したり、学習成果を改善したりする上で大きな障害になる。そのため、ほとんどの国では、問題の多い学校に小規模学級を導入したり、教員1人当たりの生徒数を減らしたりする措置を行っていた。

一方、3分の1以上の国々で、最も恵まれない環境にある学校は、最も恵まれた学校の教員と比べ、資格が低く、経験の浅い教員が多かった。恵まれない学校に経験豊かで能力の高い教員を配置していない国では、家庭の経済的・社会的地位による生徒の成績の格差が大きかった。

学校に教員の選定や採用に関する責任をより多く与えると、生徒の成績が向上し、この責任が小さいと、生徒の成績が悪くなる傾向がみられた。

報告書では、初期の研修とメンタリング、専門性開発を通じて、教員が恵まれない学校で働くときに必要とする技能を身につけられるように、改善する余地があると指摘。高い実績を上げている教員政策には、▽教員になる前に長期間の教育実習を必須としている▽学校が主催するワークショップのような現職教員に対する専門性開発の機会がある▽教員の継続的能力開発に焦点を当てた教員評価メカニズムを導入している――という三つの共通した性質があることが分かった。

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育技能局長は報告書の発表会見で「各国は問題が最も多い学校に対して、配置する教員の数を増やすのではなく、その質を高めることで、機会の不平等を正せることが分かる。教員政策は、将来像を描けないでいる数百万の教員に未来をもたらす上で、不可欠な役割を果たす」と話した。